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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第329話】
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乗った突きは、打鉄の近接ブレード自体が威力に耐えられずに全損――粉々に散っていった。
だが、その一撃は届き、大きくシールドエネルギーを減少させる事には成功した。
「……あぎゃぎゃ、やるじゃねぇか。 今のは打鉄のカタログスペックを上回る程の加速力だったぜ」
「ハァッ……ハァッ……!」
「……あぎゃぎゃ、今回はここまでにしといてやるぜ」
何処かまだ余裕のある声でいい放つ男は、指を鳴らすとラウラと一夏を拘束していた自律兵器を戻す。
「さて……これで俺様は退散するとするかな」
そう言ってふわりと空中を舞うように浮かぶ男。
美冬と未来の二人は、セシリアと篠ノ之の二人に駆け寄っていて既に地上にいた為、逃亡の阻害は出来ない。
「待てよ! まだ勝負はついてねぇぞ!」
そんな中、エネルギーが底をついた白式で無理矢理立ち上がると、物理刀に成り下がった雪片を構える一夏。
「あぎゃ? ……けっ、殆ど何も出来なかった奴が意気がるなよ」
「意気がってねぇッ! このままお前みたいな奴を見逃せば、千冬姉の名前に傷がついちまう!」
「……あぎゃ。 そのてめえの行動が織斑千冬の名前に傷付けてるって事に気づかない辺り、道化だな……」
小さく呟く――追撃しようにも俺もエネルギーが底をついた為、下手に刺激するわけにはいかないのだが。
「一夏、止せ! 下手に追撃して白式奪われたらどうするんだ!?」
「……ッ!!」
「あぎゃぎゃ、まあお前の軽薄な行動がこういう事態を招いたかもな。 ……仲間を守りに来た? 自分すら守れないガキじゃ、誰も守れねぇよ! あぎゃぎゃぎゃぎゃっ!!」
そんな高笑いをその場に残し、上空へと一気に急上昇し、そのまま離脱していく男。
その時の加速で砂塵が舞い、砂煙が立ち込めた。
「……撃退したで良いのか?」
「……お兄ちゃん、今の人……IS――」
「……あぁ。 三人目の操縦者だ」
静かにそう呟くと、俺は空を仰ぐ様に見つめる。
男が去っていった方向には飛行機雲が延びていくのが目に映った。
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