暁 〜小説投稿サイト〜
久遠の神話
第九十八話 道場にてその八
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 上城は防ぎ続けている、その二人のうちの彼を見ての言葉だ。
「ああしてね」
「じゃあ上城君は一人では」
「あそこまではね」
 それはというのだ。
「闘えなかったわ」
「そうですか」
「人も神も一人ではその力は限られているわ」
「神様もですか」
「はい、そうです」
 今度は豊香が答えてきた。
「私達にしても三人いてこそです」
「それでなのですか」
「お姉様に対することが出来ています」
「アフロディーテ女神やアポロン神の力も借りたわ」
 二人の名前はだ、智子が出した。
「そうしてね」
「本当に多くの神々が力を合わせて」
「そう、お互いに信じてね」
 そのうえでだというのだ。
「力になっているのよ」
「そうなのですね」
「そうです、ですから」
 それでだというのだ、豊香も。
「貴女は最後の最後までです」
「上城君を信じることですね」
「それが大事です」
「ではこの闘いだけでなく」
「戦いが終わっても」
 それからもだというのだ。
「そうされて下さい」
「わかりました、じゃあ私は」
 上城を信じると誓うのだった、そして。
 上城をあらためて見る、すると彼はというと。
 まだ防戦に務めていた、そうして。
 中田の攻撃を防いでいた、中田の攻撃は果敢だ。
 だが、だ。その中でだった。彼は少しずつだが。
 動きが鈍くなっている様に見えた。しかしそれは。
 上城もだった、彼も力を使っているからこそ。
 お互いに疲労が見えてきた、それを見てだった。
 智子は今いる面々にだ、こう言った。
「そろそろよ」
「勝負がですね」
「決まりますね」
「ええ、そうなるわ」
 その通りだとだ、聡美と豊香の問にも答える。
「二人共今まで攻勢と防戦に徹していたけれど」
「それがですね」
「間もなく」
「動くわ」
 そしてだった。
「そのうえでね」
「闘いが終わる」
「そうなりますね」
「ええ、間違いなくね」
 こう言うのだった、それは断言だった。
「そうなるわ」
「そうですか、それでは」
「いよいよ」
「勝負は一瞬よ」
 それで決まるというのだ。
「ではね」
「それでは」
「勝負を見守りましょう」
 二人は智子の言葉に応えた、そして。 
 樹里もだった、二人の闘いをじっと見守っていた。今も上城を信じながら。
 上城は今も防いでいる、その彼に対して。
 中田は一旦後ろに跳んで間合いを開けた、そうして。
 両手の剣で乱舞の様に斬りつけてきた。その攻撃も防ぎに防ぎ。
 そしてだった、その攻勢が終わった時に。彼はこの闘いではじめて攻撃を繰り出した、氷の剣を一閃させたのだ。
 中田はその攻撃を今度は彼が防いだ、右手の剣の炎で受け止めたのだ。
 そうしてからだ、彼は確か
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ