第九十八話 道場にてその八
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上城は防ぎ続けている、その二人のうちの彼を見ての言葉だ。
「ああしてね」
「じゃあ上城君は一人では」
「あそこまではね」
それはというのだ。
「闘えなかったわ」
「そうですか」
「人も神も一人ではその力は限られているわ」
「神様もですか」
「はい、そうです」
今度は豊香が答えてきた。
「私達にしても三人いてこそです」
「それでなのですか」
「お姉様に対することが出来ています」
「アフロディーテ女神やアポロン神の力も借りたわ」
二人の名前はだ、智子が出した。
「そうしてね」
「本当に多くの神々が力を合わせて」
「そう、お互いに信じてね」
そのうえでだというのだ。
「力になっているのよ」
「そうなのですね」
「そうです、ですから」
それでだというのだ、豊香も。
「貴女は最後の最後までです」
「上城君を信じることですね」
「それが大事です」
「ではこの闘いだけでなく」
「戦いが終わっても」
それからもだというのだ。
「そうされて下さい」
「わかりました、じゃあ私は」
上城を信じると誓うのだった、そして。
上城をあらためて見る、すると彼はというと。
まだ防戦に務めていた、そうして。
中田の攻撃を防いでいた、中田の攻撃は果敢だ。
だが、だ。その中でだった。彼は少しずつだが。
動きが鈍くなっている様に見えた。しかしそれは。
上城もだった、彼も力を使っているからこそ。
お互いに疲労が見えてきた、それを見てだった。
智子は今いる面々にだ、こう言った。
「そろそろよ」
「勝負がですね」
「決まりますね」
「ええ、そうなるわ」
その通りだとだ、聡美と豊香の問にも答える。
「二人共今まで攻勢と防戦に徹していたけれど」
「それがですね」
「間もなく」
「動くわ」
そしてだった。
「そのうえでね」
「闘いが終わる」
「そうなりますね」
「ええ、間違いなくね」
こう言うのだった、それは断言だった。
「そうなるわ」
「そうですか、それでは」
「いよいよ」
「勝負は一瞬よ」
それで決まるというのだ。
「ではね」
「それでは」
「勝負を見守りましょう」
二人は智子の言葉に応えた、そして。
樹里もだった、二人の闘いをじっと見守っていた。今も上城を信じながら。
上城は今も防いでいる、その彼に対して。
中田は一旦後ろに跳んで間合いを開けた、そうして。
両手の剣で乱舞の様に斬りつけてきた。その攻撃も防ぎに防ぎ。
そしてだった、その攻勢が終わった時に。彼はこの闘いではじめて攻撃を繰り出した、氷の剣を一閃させたのだ。
中田はその攻撃を今度は彼が防いだ、右手の剣の炎で受け止めたのだ。
そうしてからだ、彼は確か
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