第四章
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第四章
「この彼。わかったわね」
「えっ、渚君!?」
「確かギターをやってた」
「そう、これが新入部員だから」
こう彼等に言うのである。
「わかったわね。じゃあ可愛がってね」
「うちは誰でも歓迎するけれど」
部員の一人の小柄な女の子、優子に負けないだけ小さなその娘が言うのだった。
「それでも。また急な話ね」
「別にいいじゃない。部員が増えても困らないでしょ」
「それはそうだけれどね」
そのことはだ。その部員も否定しなかった。
「けれどそれにしても」
「話は決まりね。じゃあね」
「うん、それじゃあ」
こうしてだった。玲は美術部員となった。彼はキャラクター画だけでなく他の絵も描いていった。するとその絵がだ。
部員達から見てもだ。こう言う程だったのだ。
「うわ、上手っていうか」
「どんな絵でも描けるし」
「しかもかなり上手だし」
「凄いじゃない」
こう言うのだった。彼等はだ。
人は褒められればそれで気をよくするものだ。それで彼もだった。
絵を描くことが楽しみになりだ。それでなのだった。
絵に没頭しだした。そしてだ。
やがて彼はだ。こんなことを言い出したのだった。
「コンクールとかに。僕の作品出そうかな」
「いや、出そうかなじゃなくて出すべきだから」
「そこまで上手だと」
これが美術部員達の返答だった。
「多分優勝するんじゃない?」
「だよね。ここまでいいとね」
「本当に自信持っていいから」
「是非出そうよ」
「わかったよ。それじゃあ」
彼等の後押しも受けてだ。玲は実際に彼のその絵をコンクールに出した。出したのは風景画と人物画それぞれのコーナーにだった。
そしてコンクールに出すとだ。これがだった。
優勝したのだ。風景画で優勝し人物画は次点だった。一位と二位だったのだ。
それを見てだった。優子もだ。
驚きを隠せずにだ。玲のところに駆けつけて言ってきた。
「凄いじゃない、優勝って」
「いや、まぐれだよ」
「まぐれでもう一つは次点にはならないわよ」
「優勝と次点だってこと?」
「一位と二位じゃない。そんなの有り得ないわよ」
こうだ。優子は驚きを隠せない顔で言うのだった。
「本当に実力がないと」
「実力なんだ」
「紛れもなくね。あんた絵の才能あるわよ」
「だったらいいけれど。ただ」
「ただって?」
「絵を描くことって楽しいね」
玲は微笑みだ。そのことは純粋に楽しいというのだ。
「何かこれからも描いていきたくなったよ」
「そう。それじゃあこれからは絵ね」
「ギターが弾けなくなって」
自分でだ。そのことを言う玲だった。
しかし今の彼はだ。笑顔でだ。こう言えたのである。
「何をしていいのかわからなかったけれどね」
「
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