第一章 運命の始まり
第二話
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ございました。今でもこの右腕に受けた傷が疼きます。まさに彼の武を磨くことこそ、私のなすべき最後の集大成であると」
「そうか、お主にそれほど言わせるとはな。頭も良い上に腕も立つか……これは、嫌な予感がせんでもないな」
「王よ、その心配はございません。エルトシャン様、ラケシス様、ロキ様。彼らは皆仲良く、それに王は名君であられる。万が一にも過ちは起こりますまい。臣下にも悪しき者はございません」
「その通りでございます」
「そうか、お主達がそう申してくれるのは、嬉しいことだが……なにも嫌な予感はそのことだけではない。どうも、イムカ王の子息があまり好人物ではないようだ。何もなければいいが……」
ロキ達の父である王のこの予感は、当たらずとも遠からずであり、将来をまさに案じしているようであった。
そのころエルトシャンといえば、幼年学校をようやく卒業し、現在は予科2年であった。王子ということもあり無下にされることもなかったが、厳しかったと言える。しかし、そこは決して楽しいと思える場所ではなかったが、彼はその学校にてシグルドやキュアンという親友とも呼べるべきもの達に出会っておりあながち悪いところとも言えなかった。
「私には兄妹がいないから、君たちが羨ましいよ。弟が欲しかった」
「そうかい、でも俺にも妹しかいないから弟のことはわからないよ。そこは、エルトシャンに聞かせてもらわないと」
「うーむ、弟か。俺も最後にあったのは弟が3歳の時なんだよ。だからこれといって遊んだ記憶がないが実に愛らしかったと言っておこう、そんな弟だが、妹の手紙を読むあたり今は剣術の稽古をしているらしい。しかも、才能があったらしく私以上の速さで剣術を習得しているとか、妹が弟に負けぬようにと叱咤激励が書いてあったよ」
「あのエルトシャンも、兄妹には弱いと見える」
「ふん、否定はできん」
3人は顔を見合わせ、笑いあった。将来の英雄達は未だ幼く、しかしその姿は周りのものにとっては余りにも凛々しく、華々しい。しかし、この時間もあと2年で終わろうとしていた。
「そういえば、その妹だが……今度の王都で開かれる王の誕生祭に出席するらしい。確かシグルドの妹君もそうであったろう?」
「そうだ。その時キュアン、妹を君に紹介しよう」
「シグルド、妹君は可愛いか?」
「ふん、この度のパーティでは一番の美しさを誇るのは間違いないだろう」
「ほう、私の妹も負けていないと思うがな!」
ここで、シグルドとエルトシャンが顔を見合い合わせにらみ合う。ただならぬ雰囲気にキュアンは慌てて止めるが……
「待て待て、そこで争ってどうする? しかし、楽しみだな。二人ともの妹君が参加か……楽し
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