暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
第六話
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帳…すいません。

「ええと…確か…」

つい最近聞いた話だ。

いつか使えると思ってメモ帳に書いたが…あったあった。

「四十七層の街、《フローリア》にあるサブダンジョンに、使い魔専用の蘇生アイテムがあるらし」

「本当ですか!?」

俺の言葉の途中でも、途端に食いついてくるシリカ。

「…でも、君のレベルは…?」

「あ…」

デスゲームとなったSAOでは、階層+10レベが適性レベルと言われている。

ここ、第三十三階層にいるのだから、シリカのレベルは恐らく43程度。

フローリアに行くには10レベ以上足りない。

「…でも、情報をくれただけでもありがたいです。…頑張ってレベルを上げれば、いつかは…」

「…それが…蘇生できるのは、死んでから三日以内らしいんだ…」

「…そんな…」

俯いて、涙を一粒流すシリカ。

「ちゃちゃっと俺が行っても良いんだが…使い魔の主がいかないと駄目らしいし…相変わらず性格が悪いな、あの野郎…」

茅場だ。

「…その、ありがとうございます…とりあえず、今日と明日レベル上げした後、行ってみます。」

「人の話聞いてたか!?駄目だ!死ぬぞ!」

二日間でレベル上げしても、五レベ上がれば良い方…らしい。

目の前にいる人間を、みすみす死なせられるかよ…!

トレードウィンドウを呼び出し、シリカが使っているらしい、短剣と軽装の鎧のレアアイテムをシリカに渡す。

「…え?」

「俺が持ってる中で、出来るだけ強いのを渡した。レベルが三ぐらいは上がる強さの筈だ。」

「は、はあ…」

状況が読み込めず、ポカンとなるシリカ。

すまないホランド。

お前も男なら分かってくれ。

「俺も一緒に行く。そうすれば、多分死ぬことは無い。」

自殺するのと同じことを、放っておけるわけがない。

「…な、何でそこまでしてくれるんですか…?」

シリカが怯えたように後ずさる。

あ、そうか。

SAOは基本的に、
『上手い話には裏がある』
が、通説だ。

…ふざけた通説だ。

「人が人を助けるのに、理由なんているのかよ!」

シリカの心に届くように、叫んだ。

そして、
ずっと泣いていたシリカは、ようやく笑ってくれた。

アイドル扱いされるのも納得の、可愛らしい笑顔で。



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