第六話
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あ〜しまったな。
確かに怒ってたとはいえ、こんな女の子を怒鳴りつけてしまった。
…最低だな、俺。
「ええと…」
しかし、怒鳴りつけた手前話しかけづらい。
どうしたものか…
「お願いだよ…私を一人にしないでよ…ピナ…」
少女は青い羽根を持ちながら泣き続ける。
「ピナ…?」
どっかで聞いた名だ。
泣き続ける少女を見て、ようやく思いだした。
《龍使い》の名をを持つビーストテイマー、《シリカ》
小型モンスター、《フェザーリドラ》のテイムに、この世界で唯一成功したプレイヤー。
年齢は十三歳ほどではあり、プレイヤーのほとんどが重度のネットゲーマーであるSAOをプレイしている中では、年齢はもっとも低い方だろう。
可愛らしい容姿と、そのフェザーリドラから、中層プレイヤーからはアイドル扱いされているらしい。
で、本人はそのアイドル扱いに若干酔っている…自分は特別である、と考えている節がある…と、知り合いからは聞いたな。
ピナと言うのは、その使い魔モンスター、フェザーリドラの名前。
…それがいないと言うことは…
「大丈夫だ、モンスターはもういない。」
シリカの手に、そっと自分の手を乗せる。
…これぐらいが限界だな。
これ以上行くと、『ハラスメント防止コード』に引っかかり、シリカがOKボタンを押すだけで、俺は一瞬の内に《黒鉄宮》へ送られ、監獄送りだ。
「君の友達を守ってやれなくてすまなかった。
…とりあえず、泣き止んでくれ。」
ゆっくりと。
諭すように言った。
「…いいえ…すいません…助けてくれて、ありがとうございます…」
俺の舌っ足らずな言葉も多少効いたのか、流石にまだ目の端には涙があったが、とりあえず話はできるようだった。
目の前で少女が泣いているのに、放ってはおけない。
男に遺伝子レベルに刷り込まれたことである。
…まあ、目の前で少女が泣いていたら興奮する、とか言う奴がいたら、速攻で監獄送りにしてやるが。
「君は確か…龍使いのシリカ、だよね。」
「…はい…」
青い羽根を持ちながら、なんとかといった様子で立ち上がる。
ん?てか青い羽根?
「…その羽根…もしかしてアイテム登録されてない?」
SAOでは、消滅する時は全て消滅する。
一片たりとも残らないのが普通だが…
シリカが羽根をクリックすると、半透明のアイテム画面が現れる。
名称 《ピナの心》
「待った待った泣かなないで!」
シリカが再び泣きそうになるのを止め、アイテムを取りだす。
取り出したアイテムは、《メモ帳》
何の変哲もない、ただのメモ帳だ。
まさにメモ帳・オブ・メモ
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