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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十四話 暗闘
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という事のようだ。二千億ディナールの臨時収入も有った……」
「二千億ディナールか、大きいですな、総参謀長。今回の軍事行動ですが政府は一千億ディナールを予算として計上していました。純粋に経済活動としてみれば黒字ですよ。国債の件も含めればぼったくりに近いです。主戦派が喜ぶのも無理はない」
キャゼルヌ先輩の言葉に彼方此方から溜息が漏れた。戦争で儲ける? 一体何時の話だ?
「それ、みんな総司令官代理がやった事ですよ」
「……」
「まあぼったくりというか火事場泥棒みたいなものですけど本人は和平のためにやったのにそれで戦争継続とか……、自分だって辞めたくなりますよ」
ブレツェリ准将のぼやく様な言葉に皆が頷いた。同感だ、俺も一言言わせてもらおう。
「大体何時まで戦争するんです? 今和平が見えているのに戦争継続しろって言うなら終わりを示してもらわないと……。このままズルズル行くのは御免ですよ、命が幾つ有っても足りやしない。自分は未だ死にたくありません、婚約者が居るんですから」
俺の言葉に彼方此方から同意する声が上がった。皆和平が見えてきた事で死にたくないという思いが強くなっている。
「まあトリューニヒト議長は戦争継続には反対の様だ。議長の踏ん張りに期待するしかないな」
「当てになると思いますか、総参謀長。元は主戦派ですよ、あの人。どこまで主戦派を抑えられるのか……」
俺の言葉にチュン総参謀長が肩を竦めた。
「頑張っているみたいだぞ。主戦派はかなり苛立っているとセレブレッセ大将から聞いた。電子新聞の件も連中の苛立ちが原因だろう。ストレス発散だな、憤懣をハイネセンに居ない人間にぶつけたのさ。大体あれを書いたのはイエローペーパーの類だ、誰も信用せんよ」
キャゼルヌ先輩の言葉に皆が曖昧な表情で頷いた。今一つ信用出来ない、そんな感じだ。
「緊急通信です!」
突然オペレータが大きな声を張り上げた。顔が引き攣っている、良くない兆候だ、何かが起きた。瞬時に艦橋の空気が緊張した。帝国領侵攻、その言葉が頭の中にチラつく。俺だけではないだろう、皆が苦い表情をしている。総参謀長が“何が有った”と声をかけた。
「ハイネセンでクーデターが起きました!」
クーデター? 皆が顔を見合わせた……。
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