ぷろろーぐ
智樹とそらのおとしもの
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に大きなしっかりした声で、智樹に伝えた
「今すぐそこを離れるんだ」
少し時間は戻る。
飲み物を買いに行くといってその場を離れた絃城恭夜。彼は二人分の缶コーヒーを自動販売機で買い、それを取り出そうとしたとき、彼の頭を過ぎる言葉があった
―――空に捕まってる
あの少女の酷く悲しそうな言葉。助けてと叫ぶ悲痛な声に、必死になってそのか細い腕を掴もうとして結局届かない
「空に、捕まってる………か。」
彼はふと空を見上げる。見上げたその黒い空は星で埋め尽くされていた。なんら変わりのないいつもの星空
「さ、トモ坊も待ってることだし早く戻んないとな」
彼は缶コーヒーを手に再び大桜に向かって足を進めようとした時、彼の魔術師としての感が働いた
―――何かが近づいて来ていると―――
彼は眼を強化し夜空を見据える。その眼には星々を食い尽くしたような黒い塊と白い何かを捕らえることができた落下予想地はちょうど、智樹のいる大桜付近と予測された
「このままだとトモ坊が危ないな」
このとき時間は深夜十二時ジャスト。手に持った缶コーヒーをその場に投げ捨て、脚に強化の魔術を掛け、大桜まで疾走する
(間に合ってくれよ!!)
残り三十秒、一段とその落下物が大きく見えるようになった。そして、落下まで残り一秒。
彼は大桜の約五十m前から叫んだ
「トモ坊!!そこを今すぐ離れろ!!」
◆◇◆◇◆◇◆◇
「トモ坊!!そこを今すぐ離れろ!!」
「うおっ!?」
それに気が付いたのか智樹はその場を仰け反るように後ろに飛ぶと、彼が今まで座っていた場所に光の帯、いや、質量を持った何かが墜落してきて、その場に突き刺さったのである
「な、何が」
その間に絃城恭夜は智樹に近づくことに成功していた
「大丈夫かトモ坊?」
「だ、大丈夫だ。これって……」
智樹が指差すので、二人は一緒に穴を覗き込む。大きく削られた地
面の中には水蒸気のような煙が立ち込めている。それが少しずつ晴れてきたとき、彼らは見つけた
まず、見えたのは、女性の胸らしき部分。胸元がぱっくり開いた大胆な衣装であるが、紛れも無く、それは女性の胸………
「人?いや、ち、違う」
智樹が脅えたように唇を振るわせた。
「人に……生えている訳が無い」
「アレは……翼か?」
水蒸気が消え去り、落ちてきた彼女の全体像が見えてくる。彼女は鎖の切れた露出の多い衣装と多少変わったいでたちをしているとはいえ、普通の少女と変わりない姿であった。
そう、背中に生える淡い桜色をしたそれ以外は………
(人に、羽なんて生えていない!)
仰向けになって眼を閉じ
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