憎悪との対峙
20 誕生の理由
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が、何も言わなかった。
何となく警戒心を抱かれていると感じ、自然と踏み込んだことを言うのを避けたのだ。
「でもね、アイリス、メリー。プライムタウンと言っても広いわ。東京ドーム4つ分以上の面積があるし、浮浪者が溢れかえり、視界を妨害するかのようにビルが乱立している。それにこの豪雨の中では見つけるのは難しいわ」
『そんな...』
ハートレスは再び彩斗がいつも腰掛けているワーキングチェアに座り、頭に手を添えると策を考えた。
Valkyrieの思惑もそこだろう。
この無法地帯ならば警察は最初から近寄ろうとしないし、仮に入ってきても自分たちのいる場所は特定するのに時間が掛かる。
必死に策を巡らせる。
だが自然と彩斗を見つけ出すよりも、ハートレスの頭には別の考えが浮かんでいた。
何らかの方法で彩斗を見つけて保護できれば、Valkyrieを壊滅させる切り札に出来る。
彩斗はこの3週間で希望を取り戻しかけていた。
高垣美弥の存在だ。
まだこの街にも自分を信じてくれる人間がいると思うことで救われようとした。
だがそれをValkyrieと街の人間たちに友と希望を汚された。
激しい憎しみを持っている者は時として本来には無い凄まじい力を発揮することが多い。
そしてジャックとクインティアがダウンした今、この街、そしてディーラーで『ジョーカー』に次ぐ戦闘力を持っている。
そしてそんな巨大な力を持つ者が放っておいてもValkyrieに戦いを挑む、ならばそれをうまく統制・管理出来ればValkyrieに対する最強兵器と成り得る。
「いや...」
彩斗を保護した後のグランドプランは建ったというのに、そこまでの道筋が見えない。
そんな時、自分の胸の付近に振動を感じた。
「...何よ?」
自身のトランサー通知によるのヴァイブレーションだった。
しかしトランサーを開く前に疑問が浮かぶ。
それはアイリスとメリーも同様だった。
『ネットが使えない状態なのにトランサーに通知が?』
「...まさかもう復旧した...わけないわよね」
ハートレスは恐る恐るトランサーを開いた。
ロック画面を解除し、通知バーから新着通知を選択した。
すると詳細が表示される。
だがそこには予想すらしてないものが現れた。
「あなたは...トラッシュ?」
『....』
ハートレスのトランサーに出現したのは彩斗のもとに突如として現れ、スターダスト・ロックマンへの電波変換能力を授けた謎のウィザード『Trance Advanced System The Hybrid』、略称『トラッシュ』だった。
しかし現れただけで全く口を開かない。
発声プログラムが破損している、ある意味では欠陥ウィザードだ。
鷹と狼の要素をかね合わせた灰色の体からは
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