憎悪との対峙
20 誕生の理由
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いと気づき、親心のようなものから人と関わる術としてインターネットを教えた。
そして彩斗にはシンクロによってインターネットの世界に踏み込めるという力があるということも。
その際にPCをプレゼントした。
それを期に彩斗はどんどんネットの世界にのめり込んでいった。
なぜPCが動くのかという疑問に突き当たれば、CPUやマザーボードなどPCを構成するパーツを学習し、なぜインターネットでブラウジングが出来るのかという疑問が浮かべば、ブラウジングするソフトウェアを構成するC言語やウェブページを形作るHTML、PHP、SQLなどの知識を得て行った。
だがそれは逃避でもあった。
いくら考えても答えの見えないイジメの理由に比べれば、調べれば分かるコンピューターの世界の方が楽しい。
人の感情が一切入り込まない機械の世界こそがいつでも同じ計算式を解けば同じ解答が導き出せ、ハッキリとしている単純明快で過ごしやすい世界だった。
「多分そうでしょうね」
ハートレスは立ち上がり、彩斗の部屋を飛び出そうとした。
だがそれはアイリスとメリーによって引き止められた。
「私たちも連れて行ってください!!」
『お願い!!』
メリーはその場に実体化し、ハートレスの前に現れた。
アイリスはPCのモニターに表示されたままだが、必死に訴えかけていた。
「ハァ」
ハートレスは再びため息をついた。
彩斗は人間よりもネットナビから愛されやすい。
そしてこれだけの愛情を注がれるということは彩斗自身もこの2人に愛情を注いでるのだ。
彩斗は恐らく人間に愛想を尽かしかけている。
それも自分がインターネットを教えたから。
ネットナビは基本的にはプログラムされていない限り、人に優しく接し嘘はつかない。
それでいて人間よりも豊かな感情を持っている。
もはや人間よりもネットナビの方が人間らしいと思っていたはずだ。
自分がインターネットの世界に意識を投影できるシンクロが使えるため、普通の人間とは違い、ネットナビとふれあい、そしてその温かさを感じることが出来る。
その結果が今のネットナビと人間を平等に見るという感性だ。
もちろん同じ学校の不良や腐りきった街の人間たちは人間とすら思っていないだろうが。
ネットの世界は彩斗にとって自由な世界だったのだろう。
その自由な居場所を守るために、あらゆる力を得た。
ハートレスはここにクラッカー『シャーク』の誕生秘話を知ることになった。
もちろんこれは想像にすぎないが、大きく的を外しているということはないと思った。
「あなた、名前は?」
『...アイリス』
「そう、いい名前ね」
『...』
ハートレスは一瞬にして虹の神『IRIS(イリス)』を想像した。
恐らく綴りは同じだと察しがついた
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