第百五十九話 巨寺その六
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「敵があの者達だけならよいがな」
「その闇の服の者達ですか」
「その門徒達ですか」
「おらねばよいがな。御主達は戦ってはおらぬ様じゃが」
「はい、しかし」
「その彼等もいれば」
「危ういわ」
その時はというのだ。
「だからあの二人も連れて行きじゃ」
「そして戦われますか」
「その様にされますか」
「戦は万全に万全を期してこそじゃ」
信長の考えだ、彼は常に戦いは必ず勝てる状況にしてそのうえで戦う。尾張を統一した時からのことだ。
「だからこそじゃ」
「竹千代殿と鬼若子殿もですな」
「共に」
「そうする、特に竹千代はな」
盟友である家康と彼の軍勢はというのだ。
「是非共に戦ってもらう」
「竹千代殿なら必ずそうしてくれましょう」
信行はこのことについては完全に信頼していた、家康については。
「あの方は」
「律儀者じゃからな」
「はい、こちらの頼みを断られたことはありません」
一度もだというのだ。
「常に受けて下さいます」
「しかも頼み以上の働きをしてくれる」
信長もこう言う、家康について。
「約束は破れぬしのう」
「例え何があろうとも」
「天下一の律儀者じゃ」
それが家康だというのだ。
「逆にこちらが悪く思える位じゃ」
「あまりにもよくして下さるので」
「よき友じゃ」
信長は家康についてこうも言った。
「だからこそ今はな」
「竹千代殿もですな」
「この度は」
「共に戦ってもらおう」
是非にというのだ。
「勝つ為にな」
「では明日」
「その竹千代殿達と」
合流することも話された、信長は己の弟達とこう話してから休んだ。、そして出陣の支度が全て整ってからだった。
家康と元親が信長の前に来た、二人は信長の前で頭を垂れてからそのうえで彼にこう言ってきたのだ。
「おはようございます」
「それではですな」
「うむ、話は聞いておろう」
「天王寺に行きそうして」
「そのうえで戦ですな」
「そうじゃ」
「まさにそうするというのだ。
「ここはな」
「では我等も」
「共に」
二人は信長が言う前に自分達から言ってきた。
「天王寺に行かせてもらいます」
「是非共」
「頼むぞ、ではな」
「はい、それでは」
「今よりですな」
「出陣じゃ」
信長は二人でなく全軍に告げた。
「石山にはこのまま五万の兵を置く」
「それでは」
「我等が守りを」
信行と信広は昨夜の話通り長兄に述べた。
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