暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝
第百五十九話 巨寺その四
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「そこを攻め落とすぞ」
「では、ですな」
「これより」
「うむ、そうする」
 まさにだというのだ。
「しかしじゃ」
「その前にですな」
「やはり天王寺ですな」
「そこを何とかする、ではじゃ」
 こう言ってだ、信長は諸将に告げた。
「まずはここに竹千代と鬼若子が戻ってからじゃ」
「天王寺に赴き」
「雑賀衆を退けますか」
「鉄砲を持って行くぞ」
 これは忘れないというのだ。
「よいな」
「それは忘れずにですな」
「多くの鉄砲は」
「うむ」
 無論だとだ、家臣達に答える信長だった。
「雑賀孫市は相当な鉄砲の使い手らしいな」
「本人もそうですが」
 滝川が述べてきた、やはり忍のことはよく知っている。
「その率いる者達もです」
「雑賀衆は鉄砲を使うことを得手としている忍の衆か」
「左様です、鉄砲だけでなく他の火薬を使ったものも」
 よく使うというのだ。
「ですからお気をつけ下さい」
「わかった、ではな」
 信長はその話もした、そうしてだった。
 彼はまずは家康と元親を待った、二人が来るのは明日と話が来た。それで信長は今はこう言うのだった。
「とりあえずは今は休むか」
「はい、それがいいかと」
 林が信長のその言葉に応えて言ってきた。
「今は兵達が」
「相当疲れておるな」
「一日でも休めると」
 それが大きく違うというのだ。
「今はたらふく食わせ休ませましょうぞ」
「そうじゃな、御主達もな」
「我等もですか」
「今はゆっくり休め」
 家臣達にもこう言うのだった、どう見ても彼等も相当疲れているからだ。
「よく寝よ」
「そうして宜しいのですか」
「よい、わしが許す」
 他ならぬ信長自身がだというのだ。
「だからな」
「わかりました、それでは」
 林は信長に感謝する顔で応える、こうして摂津において信行達が率いる五万の軍勢と合流した織田軍は今は休んだ、そしてだった。
 その夜だ、信長は夜の闇の中に浮かぶ石山御坊を見た。寺は無数の篝火に照らされてその全容がはっきり見えていた。
 その寺を見つつだ、信長は信行と信広に言った。
「攻めなかったのはよかったのう」
「はい、これだけ巨大ですから」
「攻めてもただ兵を失いだけだと見ていました」
 だから攻めなかったとだ、二人は信長に答える。
「摂津や河内の砦や城を攻め落とすことにしました」
「それを進めました」
「それでよい、これは陥ちぬ」
 五万の兵ではというのだ。
「鉄砲も相当必要じゃ」
「ですな、この寺を攻めるとなると」
「それなりのものが必要かと」
「十万、いや十五万を超える兵で囲み」
 今の様にだ。
「しかもその兵達が疲れておらぬことじゃ」
「充分英気がある状況で、ですか」
「攻めてこそですか」

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ