姫君の従者。
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ます!」
実技試験は現団員との模擬戦だったが圧勝だった。 ふっ、名も知らぬ騎士よ。 君は決して弱くは無かった。 ただ僕が強すぎたのだ――
◆
そうして見事騎士となった僕だけど、騎士専用の宿舎は同性愛者の巣窟だった。 女人禁制なんて聞いてないぞ……!? そして僕にそっちの気は無い! やめろ! いくら僕が美しいからってそんな目で僕を見るな!
日常的に繰り返されるセクハラと精神的苦痛が酷かったため、隊長――赤毛の隣に居た地味な茶髪の男だった――に被害を訴えると、隊長は「そういうことならちょうど良い!」と朗らかに笑った。
◆
「実はな、女王陛下からの勅令だから拒否不可なんだが……お前にとっても良い話になりそうでよかった」
「じょ、女王陛下からの勅令……!? 僕にですか?」
「ああ、実は――姫様の従者が不在で、騎士団に丁度良い者は居ないかと探していたんだが、お前がビジュアル的にも実力的にも……その他様々な条件を考慮しても丁度良いということになってな」
「姫様の従者――!?」
この美しい都の王城に住む姫君の、従者――!
僕は胸が高鳴った。 お会いしたことすらないけど、流石女王様だ! この僕の価値を、有能さを分かってらっしゃる!
「姫様の従者になれば住居はクリスタルパレス内になるから、ここでセクハラに怯えることはもう無くなるぞ」
「クリスタルパレスで暮らせるんですか!?」
「もちろん、王族の従者だからな」
「そ、その話――謹んでお受けいたします!! 全身全霊を持って姫様をお守りすると誓います!!」
「ああ、そう言ってくれてよかったよ。 まあ、いずれにせよ拒否権は無いけどな」
◆
そして今日、僕はいよいよ正式に姫様の従者となった。 目の前には姫様の私室に通じる扉がある。 僕は男だから普通控室までしか入ってはいけないと思うんだけど、姫様の従者に限っては『特別』に私室まで入って良いことになっているらしい。 それって一体……!
姫様は畏れ多くも僕と同い年で、それはもうお美しい方だそうだ。 何だかんだ同年代の人間との交流は今まで無かったから、いろんな意味で緊張する……! いやでも、僕なら大丈夫! だって僕は強くて美しいから!
「さ、この奥に姫様がいらっしゃる。 姫様は物静かな方だから、ノックをして三秒待ったら返事を待たずに中に入って良い。 俺は従者じゃないから此処までしか入れない。 ここから先はお前一人で行くんだぞ」
「はい、隊長……今までありがとうございました……!」
僕はドキドキする胸を押さえてドアをノックする。 返事は無いが、たっぷり三秒待った後ゆっくりと扉を開けた。
品の良い、豪奢な家具が揃えられた贅沢な部屋。
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