魔王は勇者の世界を知りたい。
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者で勇者が魔王で……えーと、誰を討伐するんすか!?」
「御心のままに」
それぞれがそれぞれのリアクションをとる中、魔王は静かに微笑む。
「リフェラート、メロディア。 ラスティアラもかな。 ――私たちの社会は強さこそが正義。 そうだね? お互い封印が解けたことだし、私のやることに納得できないのなら数百年ぶりに魔王決定戦でも開催しようか?」
「「「滅相もございません!!」」」
「なら良いんだけど――さて、そろそろ聖王国の姫巫女が次の勇者を召喚する頃かな……」
「お待ちください、魔王様」
赤毛の青年が跪き、顔を伏せたまま声を上げた。
「ん、どうした? フレアランス」
「勇者たちのことは我々も窓の外から見ておりました。 僭越ながら……おそらく魔王様がそのお姿のままで姫巫女の勇者召喚の儀に介入されたとしても、すぐにご正体がバレてしまうのではないかと愚考致しますが」
「ああー! 何で言っちゃうんすか、フレアランスの堅物真面目バカアホちん! 正体がバレればそのまま戦闘になって、済崩し的に人類滅ぼせるじゃないっすか! って、どひゃああっ!?」
春景色の窓から身を乗り出してフレアランスを罵倒しだしたメロディアを魔王は遥か遠くに吹き飛ばす。
そして、笑顔でフレアランスを振り返った。
「大丈夫。 ついさっき勇者の記憶を覗いて色々勉強したからね――ほら」
魔王の装備が、『勇者のプレイしていたネットゲーム』の『アークビジョップ』という職の装備になる。 元々自らをも殺せる程の性能を持つ聖剣を作ったのは魔王であった。 希望がなければ勇者も討伐しにきてくれないかもしれないと思って作ったのだ。 自身の魔力を硬質化させることで魔金属を作り出し、それを剣の形に加工してから様々な付与魔法をエンチャントした結果生まれた最高傑作が聖剣なのだが、膨大な魔力を消費しただけで作業時間そのものは大してかからなかった。 そんな魔王にとってただ形だけを真似た装備品を瞬時に作り出すなど容易いことであった。
角に関しては仕方ない。 幻術で消して誤魔化すくらいしかできなかった魔王だが、彼女の術を破れる者はそういない。 おそらくは問題ないだろう。
「これは、勇者の元の世界で、ヒーラーに該当する職の最上位職装備らしいよ。 これなら巻き込まれて召喚された感が良く出ているだろう?」
魔王は先ほどの『自称ネトゲ廃人』な勇者の記憶から、これまで屠ってきた勇者達の聖剣以外の装備が、全て『ネットゲーム』に登場していた装備であることを知っていた。 ならば、次に召喚される勇者も例の『ネットゲーム』からであろうことを想定しての選択だ。
「なるほど、流石は魔王様。 完璧です」
「って、ちょ、待って下さいよ! 巻き込まれてって……まさか勇者と共に行動する
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