書展
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な」
あの字は正直出来すぎな気もしたが。それで仕事が増えるならうれしいものだ。
☆★☆★
それからおよそ三カ月程、世間ではもうすぐ夏休みだ。まあ、俺にはあまり関係のないことではあるが。
この三カ月はこれといって特筆すべきことはなかった。唯一変わったことがあるとすれば雑誌の取材が何度かあったことだ。
あの榎田幸三と僅差の勝負をしたということが幸いしたらしい。それにより知名度も上がったと言えるだろう。
今は澤田からの仕事を一つ終わらせたところだ。なので澤田に連絡をしようと携帯を取ったところで妹の祐理から電話が入った。
「もしもし?」
『もしもし兄さん?久しぶり!調子はどう?』
「割といい調子だ」
『それは良かった。ねえ兄さん、今度祐太の家に様子をみに行ってみない?』
祐太というのは弟のことだ。大学からは一人暮らしを始めたのだ。
「様子見ね…」
『たまには三人で集まりましょうよ!』
正直何かを言い出した祐理を止めるのは難しいので俺としてはこの提案に乗る他ないわけで…
「そうだな…日にちはお前が決めてくれ」
『了解!また日にちが決まったら連絡するわね!』
最近あまり外出してなかったからいい機会だろうと納得することにする。
それからの祐理の行動は速かった。なにせ最初の電話の三十分後に「今週末に決まったから!」とだけ告げて一方的に切りやがった。通話時間はわずか三秒だ。
そして週末…
祐太の家に一番近いバス停に着くなり祐理は祐太に電話し「バス停!すぐ来て!」とだけ告げてまた一方的に電話を切った。いつもこんな感じなのだろうか。
意外にも祐太はそれほど時間をおかずにやってきた。連れがいたようだが俺たちを発見するなり別れてしまった。なかなか美人さんだ。
「祐太〜!」
祐理は祐太を見つけるなり手を大きく振っていた。
それから祐理は祐太に持っていた荷物を持たせ祐太の家へと向かう。祐太の住んでいるアパートはいかにも学生向けといった感じだ。出来て間もないという話だが。
「それで、兄さんと姉さんは何しに来たんだよ」
「そんなの祐太の様子を見に来たに決まってるじゃない!」
「そういうことだ」
やはり兄弟というべきか祐太の部屋の状態は俺の大学時代の部屋の状態とあまりかわらない。
「まったく、全然連絡をよこさないんだから」
「いろいろ忙しかったんだよ、授業とかバイトとか」
「まあ大学生となるとそんなもんだよな」
「それでも連絡くらいしなさい!」
そう言いながら祐理は祐太の服を一枚一枚たたんでいる。俺のときもいきなり押しかけてきて掃除とかをしてもらった記憶がある。
「そういえば祐太、夏休みはどうするの?」
「バイト」
「そ
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