第六章
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第六章
「何でこんなに自分の足で歩く人が多いのかな」
「ああ、他の国じゃそれが普通だからな」
「皆馬に乗らないんだ」
「馬に乗らないでさっきのあれあっただろ」
「車?」
「ああ、それに乗るんだよ」
こうだ。トウルイはテルグに話す。
「それが他の国の人間なんだよ」
「モンゴル人でも歩いてる人いるみたいだけれど」
「町はそうなんだよ」
「町は?」
「ああ、町じゃ馬に乗らなくても普通にやっていけるんだよ」
これはだ。テルグには理解できないことだった。そしてだ。
首を捻りながらだ。こうトウルイに尋ねたのである。
「それって貧乏とかそういうのじゃないよね」
「それどころか俺達よりずっと金持ちの人が多いぜ」
「何でそれで馬に乗らないのかな」
モンゴル、草原では誰もが馬に乗る。馬に乗らないのは物乞い位しかいない。そう考えられているのだ。だからテルグも言ったのである。
「わからないなあ」
「だから。車に乗るんだよ」
「さっきのあれに?今も目の前に幾つか通ってるけれど」
「金を持ってる奴はあれに乗るんだよ」
「あれって馬より高いんだ」
「びっくりする位な。そうなんだよ」
「ううん、わからないなあ」
テルグは首を傾げ続ける。どうしてもわからずにだ。
それで首を捻りながらだ。それでもトウルイに案内されウランバートルを見て回る。そこはテルグにしては本当に人が多くだ。しかも建物まで林立していた。
そういうものを見てだ。彼は言うのだった。
「羊を放したりなんてとてもできないね」
「ここじゃ無理だな」
ビルの中ではだとだ。トウルイもそのことを認める。
「それはな」
「そうだよね。それで生きられるのかな」
「だからな。俺にしてもな」
「ここに住んでものを売って?」
「そうしたりして生きてるんだよ」
そうだというのである。
「草原みたいに動いたりせずにな」
「ずっとここに住んで?」
「ああ、家にな」
「家って。動かないゲルに」
「そうだよ。そうなんだよ」
「ううん、本当にわからないなあ」
どうしてもだ。テルグにはわからなかった。
それでだ。その建物や人々を見て言うのだった。
「こんな場所に人が住んで生きられるんだ」
「わからないか?どうしても」
「草原とは全然違うんだね」
「ああ、全然な」
「それはわかるけれど何か」
またしてもだ。テルグは首を振った。
そのうえでだった。また言う彼だった。
「こうした場所で人がいて住んでるって」
「本当に驚いてるんだな」
「うん。僕には何か」
町を二人で馬に乗り動きながらだ。トウルイに話した。
「この場所はどうも」
「駄目か?」
「草原の方がいいかな」
こう話したのだった。
「僕にとってはね」
「そう
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