第五話
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
…?」
迷った。
その時。
ガキィィィンと、剣の音がした。
それほど大きい音と言うわけではなく、静かな夜の森だからこそ聞こえたのだろう。
「ま、どうせ当てもないしなぁ…」
音がした方向へ歩くことにした。
…脱出方法を教えてもらう為に。
しばらく歩くと、転移門に着いた。
これで脱出出来る…と思うほど、俺は楽観視をしていなかった。
なにしろ、このデスゲームを作り上げた奴は、性格が悪い。
とにかくモノは試しだ。
転移門に入り、転移する時特有のライトエフェクトと共に場所が変わる。
…出口には見えないが。
出口が無かった代わりに、別のモノがあった。
第35階層サブダンジョン《迷いの森》最強のモンスター−《ドランクエイプ》
それも三体だ。
それよりも俺の目に入ったのは、その三体のドランクエイプに回避を考えていない突撃を繰り返す、少女のプレイヤーだった。
レベル自体は、充分に安全マージンをとっているようで、攻撃力の高いドランクエイプの棍棒に直撃しても、思ったよりダメージを受けない。
しかし、無視出来ないHPゲージになっているのに、一番後方にいるドランクエイプに恨みでもあるのか、そいつだけを執拗に狙っては他二体の棍棒に叩かれている。
…生き残る気が、無いのか?
《銀ノ月》を鞘から抜き、いわゆる《突き》の態勢になる。
そこから、高速移動術《縮地》にて少女が狙っている、ドランクエイプの三体目に向けて突撃をした。
少女もまた攻撃をしようとしていたようだが、反応速度の差か、俺の突きの方が速くドランクエイプに迫る。
「刺突術《矢張月》!」
ドランクエイプの顔面に《銀ノ月》を直撃させ、一撃でHPゲージを0にする。
所詮は35階層のモンスター。
依頼によっては、最前線のモンスターを狩ることになる俺にとっては、ただの雑魚だった。
《縮地》で追い抜いた二体のドランクエイプはまだ俺に気づかず、少女に攻撃しようとしていた。
急いで《銀ノ月》を鞘に納め−
−一気に抜き放つ!
「抜刀術《十六夜》!」
銀色の剣閃に、二体のドランクエイプはまとめて切り裂かれる。
へたり込んでいる少女に、俺は我慢が出来ず叫んだ。
「馬鹿野郎!死ぬつもりかお前は!」
−それが《竜使い》プレイヤーネーム《シリカ》との出会いだった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ