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SAO−銀ノ月−
第五話
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…?」

迷った。

その時。

ガキィィィンと、剣の音がした。

それほど大きい音と言うわけではなく、静かな夜の森だからこそ聞こえたのだろう。

「ま、どうせ当てもないしなぁ…」

音がした方向へ歩くことにした。

…脱出方法を教えてもらう為に。

しばらく歩くと、転移門に着いた。

これで脱出出来る…と思うほど、俺は楽観視をしていなかった。

なにしろ、このデスゲームを作り上げた奴は、性格が悪い。

とにかくモノは試しだ。
転移門に入り、転移する時特有のライトエフェクトと共に場所が変わる。

…出口には見えないが。

出口が無かった代わりに、別のモノがあった。

第35階層サブダンジョン《迷いの森》最強のモンスター−《ドランクエイプ》

それも三体だ。

それよりも俺の目に入ったのは、その三体のドランクエイプに回避を考えていない突撃を繰り返す、少女のプレイヤーだった。

レベル自体は、充分に安全マージンをとっているようで、攻撃力の高いドランクエイプの棍棒に直撃しても、思ったよりダメージを受けない。

しかし、無視出来ないHPゲージになっているのに、一番後方にいるドランクエイプに恨みでもあるのか、そいつだけを執拗に狙っては他二体の棍棒に叩かれている。

…生き残る気が、無いのか?

《銀ノ月》を鞘から抜き、いわゆる《突き》の態勢になる。

そこから、高速移動術《縮地》にて少女が狙っている、ドランクエイプの三体目に向けて突撃をした。

少女もまた攻撃をしようとしていたようだが、反応速度の差か、俺の突きの方が速くドランクエイプに迫る。

「刺突術《矢張月》!」

ドランクエイプの顔面に《銀ノ月》を直撃させ、一撃でHPゲージを0にする。

所詮は35階層のモンスター。
依頼によっては、最前線のモンスターを狩ることになる俺にとっては、ただの雑魚だった。

《縮地》で追い抜いた二体のドランクエイプはまだ俺に気づかず、少女に攻撃しようとしていた。

急いで《銀ノ月》を鞘に納め−

−一気に抜き放つ!

「抜刀術《十六夜》!」

銀色の剣閃に、二体のドランクエイプはまとめて切り裂かれる。

へたり込んでいる少女に、俺は我慢が出来ず叫んだ。

「馬鹿野郎!死ぬつもりかお前は!」

−それが《竜使い》プレイヤーネーム《シリカ》との出会いだった。

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