カトレーンの証明
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る名家だ。社交界でも名の知れた一家で、特別企業を起こした訳ではないが、巨額の富と広い一族の敷地を持つ」
何かを持て余すように、クロスが呟く。
頬杖をつき、スプーンを指で器用にくるくると回しながら。
「っイスバン!?」
「あー・・・そういえばフルバスターはイスバン地方出身だったか・・・」
聞き慣れた地名にグレイが反応する。
その反応に一瞬驚きながらも、クロスは納得したように頷いた。
スプーンをくるくる回したまま。
「つー事は、お前等の故郷も・・・」
「ん、移転した」
「は?」
デリオラに滅ぼされたのか。
そう訊ねようとするのを遮るようにクロスはスプーンの動きを止め、軽い調子で呟いた。
思わずグレイは目を見開く。
「俺達の故郷フルールは10年前のあの日、移転したんだよ」
・・・一瞬、その場にいた全員が何言われてるか解らなくなった。
「い、移転?」
「どういう事だ!?」
「そのままの意味だよ」
ルーシィが首を傾げ、ナツが詰め寄るように叫ぶ。
そんなナツを手で制し、クロスは続けた。
「フルールは別名“魔法都市”。住んでいる人間は全員魔導士、街にも魔法が溢れている。ま・・・だから人口はかなり少ないがな」
当然の事を語るような様子のクロスを、ナツ達は呆気にとられるような表情で見ていた。
この世界にいる魔導士の数は1割程度。
人口が少ないとはいえ、全員が魔導士というのは凄い物なのだ。
「住んでいる人間では足りない時は魔法人形を動かして働かせ、料理も命令さえすれば魔法でどうにでもなる。俺から言わせれば、魔法無しでは生きていけない残念な奴等の集う場所だ」
魔法人形というのは、魔水晶を心臓代わりに動くアンドロイドのようなものだ。
魔水晶の魔力が切れれば使い物にならないが、動いている間は掃除・料理・買い出しといった家事全般から、出前の注文・宅配便の受け取りといった事まで命令1つで何でも熟してくれる。
フルールでは一家に3体ほどあるのが当たり前だ。
「10年前のあの日、フルールはデリオラの気配を察知して、緊急用の街全体を転送する魔法を発動させた。そのおかげで被害は0。イスバン地方からフィオーレの首都クロッカス近くに移転した」
どこか苛立たしげにクロスは言った。
回されていたスプーンは動きを止め、カウンターの上に転がっている。
「そして、そのフルールに昔からある名家がカトレーン一族。都市の半分を私有化し、巨額の富を持つ。幼き頃からカトレーンの子は英才教育を受け、カトレーンの家は優秀者だけで造られていく」
その図は想像出来た。
あのシャロンが優秀じゃない人間を一族に置いておく訳がない。
少し
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