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Element Magic Trinity
カトレーンの証明
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「キャハハハッ!妖精は一体何してんのかねぇ?一向に来ないじゃん!」

シオに変わって見張りを務めるマミーが笑い声を零しながら望遠鏡を覗き込んだ。
だが、見える場所から来る者はいない。

「あーあ、退屈じゃんねー・・・どー思うよ、ヒジリ」
「ア?」

マミーに問われ鬱陶しそうに閉じていた目を開いたのは、『ヒジリ・ファルネス』。
灰色の髪に黒いTシャツ、灰色のパーカーを羽織り、ベージュの細身パンツを穿いている。
ガシガシと髪を乱すその手には指の所がない手袋がはめられていた。
面倒そうに細められた目は左が青、右が赤のオッドアイだ。

「んなの知るか、オレに聞くんじゃねーよ」
「でもさぁ〜、今ここにはアンタとアタシしかいない訳よ。聞こうにも相手アンタしかいないし」
「チッ・・・だったらザイールに念話で聞いたらどうだ?アイツ、頭いいだろ」
「残念、アタシは念話を使えないのさ」

ひょいっと肩を竦めるマミーに再度舌打ちし、ヒジリは顔を背ける。
彼も災厄の道化(フォーチュンクラウン)の魔導士だ。

「てゆーかさヒジリ」
「んだよ」
「アンタ、ルナと一緒にいなくていいの?」
「ハァ?」

何言ってんだコイツ、と言いたげな視線を送るヒジリ。
それに対し、マミーはケラケラと笑いながら続ける。

「だってさ、アンタとルナって仲いいじゃん。できてんの?」
「できてねぇよ!つーか、誰があんな奴・・・」
「そーゆーリアクションが楽しくてからかっちゃうんだよね〜♪」
「ドSがッ!」

喚くヒジリをからかいながら、マミーは望遠鏡を覗いた。











「カトレーンの証明・・・って」
「どういう事だ?」

ルーシィの言いかけた言葉を遮るようにして、ナツが問う。
後ろでルーシィが若干怒っているが、気にしない。

「そのままの意味さ。カトレーンの証明、それが複製能力(コピー)。それが無い者は・・・カトレーンを名乗る事すら許されない」

それを聞いて、ルーシィは思い出す。
かつて家賃が払えずサルディアに誘われティア達の家に行った時、クロス達が聞かせてくれたあの話を。

「もう1度聞く。お前達は最初から語られるのと、最大の事件のみを語られるの・・・どちらを望む?」

そう呟くクロスの目は、真剣だった。
真剣で――――何かに縋るような光を宿して。




「お前達は・・・姉さんの過去を知る気があるか?」




ティアの過去。
超完璧主義の超曲者、口は悪いがルックスはいいギルド最強の女問題児が、ずっと隠していたもの。
所属13年という古株ながら、知る者は誰もいない。

「姉さんが隠して来た事を知り・・・そし
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