第5章 契約
第87話 ルルドの吸血鬼事件
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が己の欲望の為にホイホイと血の眷属を増やしていたら、この世界はアッと言う間に吸血鬼に因って埋め尽くされて仕舞います。しかし、未だに世界は大多数の人間に因って支配されている状態。
ここから考えても、吸血鬼の吸血行為と、血の眷属化の間に差が有るのは明らかでしょうが。
もっとも、ただ血を吸うだけの行為で有ったとしても、それを度々続けて居たら、何時かはそう成る……俺のサーヴァント化の可能性も高く成りますし、更に、細かい条件の中には月の影響も有ったはずですから、絶対に安全だとは言いませんが。
それでも……。
「それにな、タバサ。俺の暮らして居た世界には抗ヴァンプ薬が存在していた。せやから、オマエさんが血を吸った相手をどうしてもサーヴァントにしたくなければ、ハルファスを通じて抗ヴァンプ薬を手に入れても良い。それだけの事やから気にする必要はない」
思いつめた表情で俺を見つめる彼女を安心させるように、殊更、軽い調子でそう話しを締め括る俺。
それでも、細かい事はこの際、関係ないでしょう。今の彼女が非常に不安定な精神状態で、自らの存在に不安が有ると言う事なのでしょう。
不安が有るのなら、それを取り除いてやれば良いだけ、ですからね。
但し、この抗ヴァンプ薬に関しては大量生産された物ではなく、ごく少量生産された物ですから、俺の式神のハルファスに調達出来るかどうかは微妙な線の代物なのですが。
何故ならば、これは一九九四年に起きた闇の救世主事件の際に平行して起きて居た吸血鬼騒動の際に作り出された特殊な薬品ですから。
「それにな、タバサ。その巷間でウワサされている吸血鬼の特徴は、オマエさんらの一族の特徴で有る可能性は低いで」
未だ完全に納得したとは言い難い雰囲気で俺を見つめて居る蒼い少女に対して、更に言葉を続ける俺。
「ガリアやトリステイン、アルビオンの王家に吸血鬼の血が流れて居る。いや、その他の貴族の中にも少なからず吸血鬼の血が流れて居るのなら、その吸血鬼の情報が巷間に流れ出るのは不自然や」
確かに遙かな過去に存在して居た御先祖さまの一人が、実は吸血鬼だったと言うだけならば問題は少ないのですが、それでも……。
「普通に考えるのなら、自分たちの血の中に吸血鬼の血が混じって居る連中が、その自分たちの正体や弱点に繋がる情報を流す訳はないからな」
意図的に情報の操作が出来る王家が、こんなヤバい情報を流すのは流石に……。
何時、恐怖と狂気に駆られた民衆が武器を取り、血吸い野郎を吊るせ、と声高に叫びながら向かって来るか判らないですから。
おそらく、可能性として簡単に考えられるのはふたつ。
意図的に偽の情報を流したか、
それとも、その巷間に語られる吸血鬼と、自分たちの血の中に存在する吸血鬼
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