第5章 契約
第87話 ルルドの吸血鬼事件
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しかし、事件が起きた時期が悪かったのも事実。
そう。折しもガリア両用艦隊のクーデター騒動から始まる一連の事件が始まった頃の事。如何に大国ガリアとは言っても、早々人材に溢れている訳などなく、このクーデター事件の中で重要な役職に就く事の出来なかった人員が当てられる事と成ったのは、誰からも責められはしないであろう。
何故ならば被害者の数から察するに単独。多くても数体程度の吸血鬼が起こす災厄と、ガリアに吹き荒れつつ有った疫病に対する対策とでは、どちらを優先すべきかは火を見るより明らかで有ったから。
確かに、死者の数で事の大小を計るのは不謹慎かも知れない。しかし、何事にも優先順位と言う物は存在して居て当然ですから……。
そして事件が始まってから大体一か月後、十二月に入ってから派遣された三人の騎士とその従者たち。都合、八人の魔法使いたちが捜査を開始。
小さな村の事件に八人もの騎士を派遣してくれた。これで一安心。そう、ルルド村の住人たちが少し安堵の吐息を吐いた、……のもつかの間。
その魔法使いたちが変わり果てた姿で発見されたのが丁度一週間前のダエグの曜日。
「それでアンタたちが派遣されて来た、と言う訳ね」
土地神たちへの土産として用意した菓子パンを頬張りながら、そう聞き返して来るブリギッド。
そう。土地神の助力を得るのに、何時も同じように霊力の供給の約束や金銀などの提供では味気がないので、今回は御神酒や御供えを用意して来たのですが……。
それでも、居ない者は仕方がない。
……と言う訳で、完全に夜が明けるまでは流石にルルド村に入る訳にも行かず、土地神を召喚しようとした場所に結界を施した上で、早すぎる朝食と相成った訳なのですが。
元々、土地神たちに土産を振る舞う際に、自分たちも朝食を取ろうと思って、こんな時間に移動して来た訳ですしね。
「その派遣された騎士たちはすべてライン以上のメイジ。確かに、精霊を完全に支配されたら吸血鬼に敵う連中では無かったかも知れないけど、そんな事は自分たちが良く知って居たはず」
敵わない相手に正面からガチで殴り合う馬鹿はいないと思いますし、それに、この世界は吸血鬼の脅威に晒され続けた世界。そんな世界ですから、吸血鬼との戦い方の基本形と言う物は存在していたと思うのですが。
いや、それ以前に俺は……。
「そうしたら、タバサ。この世界で一般的に言われている吸血鬼の生態について教えて貰えるかな」
自らの右横でブリギッドと同じように……。こちらはアンパンを口に運ぶ少女に問い掛ける俺。そう、良く考えて見ると、俺はこの世界の吸血鬼の詳しい生態を知りませんでしたから。
一応、タバサから感じて居るのは地球世界の東欧に端を発する吸
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