第5章 契約
第87話 ルルドの吸血鬼事件
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まして、相変わらず、何と言う部分が『アニ』と発音して居るようにしか聞こえないのですが。
しかし、
「その土地神たちの消息が不明に成ったのは、何時頃の事なのか判って居るのか?」
先ほどまで考えて居た内容をオクビにも出す事もなく、やや眉根を寄せて深刻そうな雰囲気でそう問い返す俺。
但し、頭の中では、彼女が日本土着の神の神性を持って居た場合、伝説上でどの神が一番近い神性を持って居るのかを考えながら、なのですが。
「判らない。私も昨日、この辺りにやって来て、土地神たちと連絡が取れなく成って居る事に初めて気付いた状態だから」
そもそも、この辺りは風の精霊王の管轄。私は詳しくはない。
こちらも形の良い眉根を寄せながら、最後は独り言のように締め括るブリギッド。
しかし……。思考は別の空間を彷徨い続ける俺。
平安期。更に、東国で女神。鈴鹿御前は西国。巴御前は毛抜き形蕨手刀よりは長刀。
蝦夷系のカムイの場合はアニミズムに分類されるけど、俺は詳しくはない。おそらく自然霊の類と成るので、彼女のように完全に擬人化されているか微妙なトコロだと思う。
可能性としては桔梗の前の可能性も有りますが……。
ただ、ブリギッドの戦闘時の瞳に現われる特徴。左の瞳がふたつに別れると言う特徴を持った神性だとすると、有名なトコロでは……。
「……五月姫?」
思わず口に出て仕舞う名前。但し、この名前は有名な名前ではない。
有名な方の名前は滝夜叉姫。平将門の娘で、貴船のタカオカミの神託を受け、弟の相馬太郎良門と共に相馬の城にて挙兵。
しかし、最終的には朝廷から勅命を受けた大宅中将光圀に因って討たれる。
ただ、父親の仇討ちの為に夜叉にまで堕ちていた五月姫が、最後の場面では改心して弟の良門と共に父親の元に昇天して話が終了するはずなので……。
もしも、彼女が滝夜叉姫の神性を帯びる存在だったとしても、そう闇の属性が高い存在と言う訳では有りませんか。
但し――
但し、クラオカミは龍神。その神託によって闇に堕ちたのが滝夜叉姫。
そして、父の平将門を討った藤原秀郷を加護していたのが、彼に百足退治を依頼した龍。
つまり、滝夜叉姫と龍で有る俺の相性は、伝承上では最悪なのですが……。
しかし……。
しかし、俺の呟きに対して、胡乱げな目つきで見つめ返すだけのブリギッド。この雰囲気から察するに、俺の予想は外れていたと言う事ですか。
確かに、将門の娘がこんな世界に居る訳は有りませんか。そう考え直し、彼女の正体を探るのは一時中断。思考を元に戻す。
そうして、
「成るほど
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