第5章 契約
第87話 ルルドの吸血鬼事件
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った村人たちを紹介して貰いたいのですが……」
何時までも捜査を開始せずに、この客間でワインばかり飲んでいる訳にも行きませんし、そう話し掛ける俺。
尚、この場での役割は、タバサとブリギッドは花壇騎士。そして、俺は騎士見習いの従者。つまり、普段の配置に崇拝される者ブリギッドが割り込んだと言うだけ。
しかし……。
「それは、村人一人、一人を調べると言う事なのでしょうか、騎士従者さま。
前に派遣されて来た騎士さま方は、村人全員の身体を念入りに調べましたが、屍食鬼に変えられたと思しき村人は居なかったのですが……」
かなり陰の気の籠った言葉を返して来る村長さん。体格の良さから受ける雰囲気と、今の彼が発した声、それに、所作が指し示す雰囲気がまるで正反対。
これが、現在のこのルルド村の置かれた状況を端的に表現していると言う事なのでしょう。
そして、それと同時に、
【吸血鬼に屍食鬼に変えられた犠牲者は、その身体の何処かに牙を立てられた傷痕が残る。その為に、身体の隅々まで調べるのが犠牲者と、そうでない人間との見分け方】
俺と村長さんのやり取りを黙って見つめて居たタバサが、そう補足説明を【念話】で伝えて来る。
成るほど。前に、この村に派遣された騎士たちは貴族のくちづけの痕を調べた、と言う事ですか。それも村人全員と言うから五百人近くの人間の身体を。
「確かに、村人全員を何処か一か所に集めてその場で特殊な魔法を使用すれば、屍食鬼か、それとも普通の人間かの区別ぐらいは付きますが……」
ブリギッドに関しては謎ですが、俺やタバサの感知能力が有れば、屍食鬼の擬態能力など恐れる必要は有りません。ただ吸血鬼本体の擬態能力に関しては、流石に絶対に見破れるかと言うと、それはどうだろう、と首を傾げる部分も存在しますが。
まして、俺が実際に知って居るのはサーヴァントを作り出す吸血鬼だけ。それはつまり、それ以外の種族だと出会った事がない、……と言う事ですから、益々、見分けるのは難しく成るとは思いますが。
しかし……。
「そのような事が可能なのですか、騎士従者さま?」
かなり強い食い付き方で問い返して来る村長さん。
「え? ええ、まぁ、その程度の事なら一瞬で判りますし、私とタバサさまの二人が魔法を行使すれば、二人揃って見落とすと言う事はないと思いますから……」
村長さんの勢いにかなり押し込まれながらも、そう答える俺。そもそも、見鬼の能力と言うのはそう言う種類の能力。つまり、俺は仙術の修業を開始する前から、ある程度の霊的な存在を見て居た人間だと言う事。其処から、その才能を伸ばす為に修行を行ったのですから。
人間か、それ以外の存在が人間に擬態して居るのか、の違いぐらいなら一瞬で判断は付きます
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