2ndA‘s編
第五話〜踏み込む人々〜
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重くなっていた。
だが、それでもライの走る速度は落ちない。この程度で落ち込むほど、ライの精神は弱くはない。そして感じ取れる程の大きな魔力が彼を急かした。
海鳴市・ビル街
シグナムは動揺していた。
自分たちが住んでいる世界で大きな魔力反応を感知し、結界を展開し、魔力を発していると思われる魔導師のリンカーコアを奪う。ルーチンワークになりつつあるその行動をする為に結界を張ったのが数分前だ。
そして結界を展開すると同時に魔導師も身を隠すように魔力を抑え、その消息が一時途切れる。これもよくある展開だ、さして珍しがることでもない。例えそれが向こう側からの誘いであったとしてもそれを切り抜けるだけの自信と実力を彼女は兼ね備えている。
だが、ようやく見つけた魔導師の言葉が彼女を混乱させていく。
そのビルの屋上に立つ魔導師は女性であった。
鮮やかな緑色の髪をシグナムと同じくポニーテールにし、この世界の一般人が着るものと同じような服を着ている。そして一枚のカード――――待機状態のデバイスがその手には握られていた。
「闇の書のプログラム、守護騎士『ヴォルケンリッター』…………貴女たちのことね?」
「……」
自分たちのことを知っている。これもさして珍しいことではない。自分たちという存在が他者に何かしらの恨みを買うようなことをしてきたのは理解している。
「貴女たちが蒐集を行う目的……闇の書を完成させることで何をしようとしているのかしら?」
「そちらの質問に答える義務は無い」
「私の夫がかつての闇の書の犠牲者であっても?」
「!」
そこでシグナムは目の前の女性の瞳に一瞬だが確かな闇を見た。それがどこまでも深く、暗いことから女性に飲まれそうになる。
対等とは言い難い睨み合い。
片やバリアジャケットを身に纏い、デバイスである剣を構える騎士。
片やただの私服に、待機状態のデバイスを握っただけの魔導師。
どちらが有利であるのかは口に出すまでもない。だがしかし、今この時に置いてこの場の流れを引き込もうとしているのは騎士ではなく、魔導師の方であった。
「シグナム!」
変化の起きない睨み合いは唐突に中断させられる。
叫び声に近い呼びかけと、女性の元に着弾した魔力弾が起爆剤となり、その睨み合いの重く、苦しい雰囲気が霧散する。
シグナムはその事に内心で安堵しながら、自分の方に向ってくる少女の姿を一瞥した。
「この馬鹿!相手が目の前にいるのに惚けやがって!!」
「ああ……すまない」
短くもしっかりとした謝罪に、ヴィータはそれ以上追求するのをやめる。だが、不満が残るのかその表情はしかめっ面のままであったが。
二人は気を取り直しヴィータが放った魔力弾
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