2ndA‘s編
第五話〜踏み込む人々〜
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ぐにでも魔力補填を行うのだが、今のところパラディンはCの世界にいるためにそれはできない。
言ってしまえば、パラディンをこちらに呼び寄せることはできる。だが、それではCの世界との接続を一旦切ることになる。そうすれば、残されたライと蒼月、パラディンの二機はこちらの世界のCの世界との接続を行える遺跡なり祭壇なりを見つけなければならなくなってしまう。
なぜなら、Cの世界との繋がりを失くした状態で肉体が消えてしまえば、ライたちの意識はそのまま消滅してしまうのだから。
その為、Cの世界では今、パラディンがこちらの世界に来ることになってもCの世界との繋がりが消えないように新しくプログラムを組んでいる。
だが、武装以外の容量を演算の為に開けているパラディン単機ではプログラムを組むのに時間が掛かる。蒼月であればもう少し早いのだが、それではライの目的たる女性の捜索が困難になる。
それは例えパラディンが手元にあり、Cの世界に蒼月が残った場合でも同じである。早くプログラムを組むことができても、その分捜索の時間が伸びてしまう。良くも悪くも蒼月の性能を武装面以外に特化させ過ぎた弊害が此処に来て現れていた。
「ジレンマだな」
吐露した気持ちと魔力補填に伴う疲労感を振り払い、ライは頭の中の情報を整理していく。
(彼女がどこにいるのかはともかく、彼女がヴィータ副隊長の持っていた本に関係することは分かった。ならヴィータ副隊長を追えばいい)
記憶している映像を頭の中で再生しながら今後の方針を決めていく。
(襲撃の最後にヴィータ副隊長が見せた反応から、何かしら彼女たちは焦っている。時間制限か、若しくは目的を達成できる期間が存在するのか)
そこまで考えたところで、ライの周囲の雰囲気が一変した。
現在は昼下がりであったのだが、当たり前の様にその公園で遊んでいた子供や雑談をしていた大人が消え去り、閉塞感を生み出す何かを感じる。
「……来たか」
一言呟き、座っていたベンチから立ち上がる。既に飲み終えていたコーヒーの缶を近くのゴミ箱に投げ入れ、何が起きても対応できる体勢をとる。
数十秒間その場に佇んでいたが、それだけの時間が経過しても何も起こらない。客観的に見れば、ベンチの前にただ立っているライの姿はどこか間抜けであった。
「……今度も巻き込まれた形か」
内心で舌打ちしつつ、ライは走り出す。
ライは何も休憩するために昼間から公園にいたわけではない。昼夜問わず、ライの行動方針としてヴィータやシグナムと言ったヴォルケンリッターに接触するべく彼は自分を餌に彼女らが向こうから来るのを待っていたのだ。
しかし、今回も彼女らの目的が自分ではない為、交渉の場に持ち込み情報を引き出す事も難しいと考えるとライの気分は少し
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