暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルなのは〜優しき狂王〜
2ndA‘s編
第五話〜踏み込む人々〜
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行できるとなるとそれはもう偶然でもなんでもない」

「……」

 クロノの言葉でその場に沈黙が降りる。
 彼の考察と推測はある意味では間違っていない。だが、確定してしまうほど確かなものでもない。しかし『そうかもしれない』と少しでも思えてしまう時点で、それはありえない可能性からありえる可能性の一つに昇格する。
 エイミィもクロノの意見を一つの要素として受け止めていたが、思考に引っかかる事があった為に素直に口を開いた。

「彼も疑ってるの?」

「…………可能性の話だよ」

 短く、そしてお茶を濁すような言葉ではあるがそれは明確な肯定の返答であった。



海鳴市・公園


 管理局がライの事を注意し始め数日が経った頃、その当の本人は公園のベンチに座り、疲労感から来る眠気という敵に缶コーヒーという武器で迎撃していた。

(マスター、お加減は?)

(怪我を直した分の魔力の補填はそろそろ終わる。この疲労感もそろそろ途切れるさ)

 なんでもない風に念話での会話にそう宣うが、それなりにこの疲労感についてライは重く捉えていた。
 今現在、ライの身体は魔力で編まれた魔導生命に近い存在となっている。なので、身体を損傷――要するに怪我をすればそれを自然治癒するために魔力を消費し、その補填としてCの世界から不足分の魔力を引っ張ってくることになる。
 だが、ここで問題が発生する。当初、自前のリンカーコアから生成される魔力で肉体構成のものは補えると考えていたのだが、それができなかったのだ。しかしCの世界からの魔力補填となると元の世界と同じく、直接繋いでしまえば集合無意識が流れ込んでくる。その為、今現在Cの世界に残っているパラディンの調整により魔力のみをライに送るように調整がなされている。
 しかしその量は微量であり、擦り傷やかすり傷であればそれでも十分であるのだが、大怪我をしてしまえば自己治癒では魔力が追い付かず、そのまま肉体は消滅し意識がCの世界に戻ってしまうことになるのだ。
 元の次元世界でCの世界との接続を長時間行えていたのは、単に蒼月に組み込まれていたチューニングシステムの恩恵があればこそである。しかし蒼月があってもここにはパラディンが存在しない。
 チューニングシステムは元々、ライの思考速度とデバイスの演算処理能力を合わせるために生み出された物だ。なので、蒼月一機ではライの思考にタイムラグ無しで合わせられるのはせいぜい数十秒でしかない。
 そこで生まれたのがパラディンである。
 蒼月とパラディンの中にはシンクロシステムと言う並列演算処理を行う為のシステムが組み込まれている。これを使うことでライの思考速度に負けない処理が行うことができるようになるのだ。
 したがって、ここにパラディンがあればシステムを使いす
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