ぷろろーぐ
Prologue〜そらのおとしもの
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仲良くしてもらえると嬉しいです」
「それじゃ、絃城。席は……桜井の前の席が空いているからそこに座ってくれ」
「分かりました」
黒板の前から自分の席の前まで歩いてきて席に座った。そして
「席、前になったからしばらくよろしくな。えと……桜井」
「あ、ああ。よろしく。えと」
「恭夜でいいよ。桜井」
「じゃあ、俺も智樹でいいよ」
その時、頭の中を何かがよぎった。それは幼い頃の記憶
「恭兄?」
そう呟くと、恭夜は驚いた顔をして指を指しながら聞いた
「なんで……まさかトモ坊?」
二人で大笑いしてしまった。もう会うことはないだろうと思って最後に大喧嘩して別れたのにこうして再開を果たしたからだ
そして、彼らはこう思った
((今日も平和な一日だといいなぁ))
◆◇◆◇◆◇
ホームルームが終わり、授業が始まると智樹と恭夜は二人して居眠りをしていた。
もともと恭夜は頭がいいので問題ないが、智樹はその逆でできないから居眠りをする。
そして、恭夜は久しぶりにあの夢を見ていた
広い草原で三人で手を繋いで立っている夢を。唯一つ、彼女と彼らが違うことは、彼女には翼が生えているということ。
そして彼女は彼らを置いていくように空へと舞い上がる。唯一ついつもの言葉を残して
―――たすけて。空に……つかまってる
恭夜は諦めずに手を伸ばし、その手を掴まんと飛び上がるが届くことは無かった。そして、いつものように隣の彼は泣いていた。
それを慰めようと、自分の無力さ加減を謝ろうと彼に近づくと、いつもそこで夢はそれを拒むように強制終了される…………はずだった。しかし今回はいつものように夢は終わらずに彼に話しかける事ができた
『悪い、俺の手がまた届かなかった。お前は悪くないんだよ?』
『いいや、俺がしっかり手を伸ばさなかったから……』
聞き覚えのある声、つい最近見たような気がする姿。恭夜と彼はお互いの顔を見ようとしたときに………目の前が暗黒に包まれ夢は終わった
あの夢を見るとどうしても悔しさで目が覚めてしまう。恭夜は自分の不甲斐なさ、無力さを思い知らされているような気がしてたまらない
恭夜が完全に目が覚めると授業終了10分前。恭夜は机に出しておいたノートに手早く黒板に書いている内容をまとめ授業を終わらせた。
恭夜の後ろでは未だに寝ている智樹の姿、それを見かねたそはらは声をかけていた
「トモちゃんっ!」
その声に反応するように智樹は目覚めたのか、そはらに向かって呟く
「………すみません。すぐ起きますんで、殺人チョップは勘弁してください」
「殺人チョップ?見月はいつもそんな起こし方をしてんのか?」
「ち、違いますよ?そんなことしないよ?それにトモちゃん
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