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そらのおとしもの〜それぞれの思い
ぷろろーぐ
Prologue〜そらのおとしもの
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ぐ何かを見つめていたそれは寝起きで寝癖のついた智樹の顔でもなく、彼のお気に入りのパジャマでもなく、ずっと下を見ていた

………つまり、男性的なアレ

「これは茶柱デス。立っていると、朝からエンギがとても」
「いぃぃやぁぁぁぁ!!」

そはらの右手が素早くチョップに固められると、そのまま智樹の頬に直撃した。それは一度ではなく数回繰返され、桜井家と書かれている表札の家から鈍い音が鳴り響いたのである

数分後、何とか着替え終わった智樹はそはらに連れられて学校に向かっていた。

彼、桜井智樹の住む空美町は人口七千人位の山に囲まれた町だ。決して楽しい町ではなく、本来なら中学生には暇で仕方ないところだ

「トモちゃんの馬鹿、変態!!」

実に、今日四度目の謝罪に四度目のそはらの変態という言葉そはらの表情から察するに別に本気で怒っているわけではないのだろうけど

(すぐに機嫌が直ってくれればいいけど………何も本気で殴らなくてもいいのに)
そんなことを考えながら、智樹はあぜ道から見える風景に視線を送る。そして思うのだ

(今日も平和だ)

平和、平穏、普通、彼にとっては退屈を表すものではなく幸福を示す言葉である

彼はそんな生活を死ぬまでこの町で送りたいと思っている

「あれ、なんだか校門のほうが騒がしいね」
「ん?」

そはらの声に智樹は目の前に迫った校門に目を向けると、確かに校門に人が集まっているのが見えた

そんな時彼の耳に入った言葉は、飛び降りだってよ、屋上からさ、え、マジかよ。誰だよそいつ。なんて声が聞こえた

「はぁ!?飛び降りぃ?」

智樹とそはらを追い抜いていったカップルの後を追って校門に入ると、確かに屋上に一つの人影があるのが確認できた

やめろ、飛び降りるな。早まるな、希望はまだあるって!!という声に誘われるように前に二人が足を進めると、徐々にその姿が見えてきた

まず、男子学生であり何かをぶつぶつと呟いている。そしてその横には飛び降りるといわれていたがグライダーが置いてある

「あ、あれ。守形先輩じゃない!?」

隣のそはらは声を躍らせながら言う

「守形先輩?」
「ほら、『新大陸発見部』の、変わり者で有名な」

(そういえばそんな人いたっけ)

智樹も噂にだけは聞いたことはあったが、学校の屋上からグライダーで飛ぼうなんて考えを起こすような人物は自分の日常を崩すだけのトラブル製造機な存在なので、なるべく関わりたくない人物だと思っていたので顔すらまともに知らない

「あらあら、やっぱり守形君」
「やけに楽しそうに見えるんですけど?」
「あら〜、転校生君。それは気のせいよ〜」

隣で聞き覚えのある声と、昔どこかで聞いたことのあるような男の声が聞こ
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