ぷろろーぐ
Prologue〜そらのおとしもの
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だ。俺にはそんなことは関係なく家族と暮らしたかった。
小さい頃に暮らしていた空美町は父のせいで引っ越してきてしまった。空美町で俺と仲良くしてくれた彼は元気だろうか?
「まぁ、こんなこと思っても現実は変わらないよな」
食パンを飲み込み朝食を終える。実に数分の朝食の時間が終わり、再び自室に戻ろうとしたとき、そこに一本の電話がかかってきた。
こんな朝早くから誰だろうか?そんなことを思いながら受話器を手に取り耳に当てると、意外な人物からの電話であった
「はい、恭夜ですけど」
『父だ、突然だがお前は空美町に引っ越してもらう』
「はい!?」
『お前はこれからそこで自由に生きなさい。転校の手続きもしてお
いた、これが私からの最後の贈り物だ』
がちゃん、ツーツー。耳に電話が切られたときの音が響く。
もう少し会話を楽しんだっていいじゃないか、なんて思う暇もなく俺は呟く
「どういうことだよ、親父殿?」
◆◇◆◇◆◇
「トモちゃん、トモちゃんっ」
これで何度目になるのか分からない揺さぶりを布団にもぐるトモちゃん……桜井智樹へ仕掛けるのは隣に住む幼馴染である見月そはら
であった
「起きてよ、遅刻しちゃうよ、トモちゃんっ」
彼女は快活そうな印象を与えるポニーテールを揺らしながら、再度、智樹の布団をゆすってみるが、もうちょっと、もうちょっとの一点張りで効果がない。
彼女、そはらは自分の用事が無い限りは、彼、智樹と一緒に登校するのが日課であった。それは子供の頃からの習慣であり、今更、中学生になったからといってやめるなどという考えなどは無かった。
その彼女の顔にうっすらと施された化粧は、決して惰性だけで彼を起こしていないということを証明していた
「むぅ」
可愛らしい小さな唸り声を上げたそはらは、幾分、焦るように自分の時計を確認した。この時間ならば優等生でなくとも普通に登校する時間であるが、遅刻常習犯である智樹にとっては関係のないことであった
本来ならばもう少し速く智樹を起こしに来ているのだが、今日はどうしてもリボンの結び目が納得行かずに時間がかかってしまったのだ。
いくら揺すっても起きる気配のない智樹に彼女は最終手段をとった
「こうなったら……えい!!」
これ以上は時間の無駄だと踏んだ彼女は、智樹の寝ている布団を引っぺがした。こうすれば寒くなって自然に起きる。そう考えていた彼女は、寝転がっていた智樹を見ると
(え、これって……//////)
一瞬の沈黙。だが、彼女の顔は即座に赤く染め上がり
「きゃぁぁぁぁぁ!!」
「な、なんだ、どうしたそはらっ?」
突然の悲鳴に驚いた智樹が起き上がると、目の前のそはらは口を手で隠し、つぶらな瞳はまっす
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