第十七話 父親
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そうにして。
きっと、彼はサクモさんの味方になってあげたいんだ。誰よりも、“尊敬”していた、“信頼”していた“父さん”に。でも、それを周りが許さない。彼は、それを感じて、無意識に、自分に言い聞かせているんだ。・・・そんなの、悲しすぎる。
?
「僕は・・僕なら、見捨てない。周りに何を言われても・・・」
彼の目をまっすぐに見ながら、そう言った。力強く、そして、思いを込めて。僕に出来る事は、それしかなかった。彼の周りをどうにかする事も、自分に言い聞かせる彼を、呼び止める事も出来ない。でも、何とか、一つでも、彼の気持ちに残したかった。彼の、失ってしまった“父親”への“尊敬”を、“信頼”を・・・僕は、持っていないから。忘れてしまったから。
「何だよ、それ。ワケわかんないし・・・」
そう言って、彼は、一瞬で姿を消した。・・・こういう事の“答え”は、きっと、シンプルなモノだ。単純で、簡潔で、明確なモノに違いない。
彼と話した一週間後、はたけサクモさんは、自ら命を断った。・・・狂劇とも言える、悲劇の幕引きになる。サクモさんが亡くなった後、あれだけ批難していた人達は、その話題を避けるように話さなくなり、噂は影へと身を潜めていった。
戦争は、人を傷つけるだけじゃない。人の心を荒ませていく。それが・・戦争。
火の国暦60年8月20日 夜
火の国 木ノ葉隠れの里 ???
???
月明かりが、煌々と里を照らしている。真ん丸とした満月が、その存在を誇示するかのように、今日の月は明るい。
木ノ葉隠れの里は、生い茂る森に囲まれている。その森は里が所有している所もあれば、特定の一族が預かる所もある。代表的なものは、奈良一族が預かる“特殊な森”。それと同じく、花の花粉や特殊な花の栽培などで、森を預かっている一族がいる。その森にある薄暗い洞窟で、蠢く黒い影が集まりつつあった。
「皆、集まったか?」
太く、響くような低い声が問うた。
「いや、まだ全員ではない。監視に出ている者もおる。」
甲高く、細い声が、それに答える。
「なら、良い。始めようか。おぬしら、どう考える?」
「フン、“暗殺”と、“クーデター”しかあるまい。あやつを擁護する火影など、虫酸が走るわ。だから、木ノ葉はここまで弱くなったのだ。」
“憤り”の色を隠さない。声は静かであるが、その語気は強い。
「あの事件をなかったものとし、犠牲者を捨てるような待遇は我慢ならん。我々が、あの時からどれだけ苦労した事か。羨望の眼差しから、批難の目に変わり、仕舞いには家畜を見るような目で見る者もおる!」
「そうだ、断じて、許せるものではない!」
洞窟に大きな声が鳴り響く。それに同調し、「そうだ!」と叫ぶ者や、頻りに頷く者がいる。その声は
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