第十七話 父親
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「父のことですか?・・・それなら、もういいんです。あれは、父が悪い。」
突き放したような、そんな語気を感じる。彼の言い方には、何か違和感を覚えた。
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「でも、サクモさんは、仲間を助けようとしたんだよ?」
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「だからどうだって言うんですか?忍が優先すべきは、“仲間より任務”です。」
彼は、視線を僕から外す。
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「でも・・・」
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「感情を表に出さない。感情に左右されない。そんなのは、忍の“基本”でしょ。」
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「だけど・・・」
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「・・・でも、だけどって、何が言いたいんですか?」
彼の言葉には、“憤り”が見えた。でも、それは、僕に対してではないような気がする。僕は、一度、落ち着いてから話す。
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「僕は・・サクモさんのした事、正しかったと思う。“忍”として生きている僕達だけど、一人じゃないんだよ。一人じゃ出来る事なんて、そんなに多くない。」
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「・・・」
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「だからこそ、僕達は、木ノ葉隠れの里として、身を寄せ合って生きているんじゃないかな?」
彼は、僕に視線を戻す。口許を布で隠している所為か、彼の表情を読み取る事は出来ない。
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「その木ノ葉を守るために、必要な犠牲があるんでしょ?」
その眼は、少しばかりの“動揺”の色を滲ませる。
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「違うと、思う。十の為の、一の犠牲は、きっと、歪を産む。その歪は次第に大きくなって、十を壊す。なぜなら、お互いを必要としているから・・・この里に住む人は、そう、育ってきたはず。誰かが“欠ける”事はどうにか出来るかもしれない。でも、誰かを“欠けさせる”事があってはいけないんだ。」
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「・・・」
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「・・・」
僕達はそれを境に、しばらく、お互いにしゃべらなかった。夕暮れの空に、カラスが鳴いている。その鳴き声は、何だか心に響くような気がした。
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「・・・それでも、父は、非難されています。・・小隊の仲間にさえも。」
苦しそうな、声を上げた。この時、彼の言い方の、何に違和感を感じていたのか分かった。彼は、以前会った時、“父さん”と呼んでいた。でも、今は、“父”と呼んでいる。それは、何を意味するのか・・・彼の、“父親”への感情を表しているのだろうか。
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「非難されてるから何だって言うんだ。君が、サクモさんの味方になってあげなきゃ。」
それは、その言葉は、彼を激昂させた。
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「!? あなたに何が分かるんですか!?家族がいない、あなたに。いない人に、いる気持ちが分かる訳ない!?」
立ち上がり、息を切らせて、めいいっぱいに叫ぶ。
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「“父さん”を非難する人は、僕の周りにもたくさんいるんです。面と向かって言う奴もいれば、陰でこそこそ言う奴もいる。そんなの、どうしろって言うんですか!?」
気が付けば、彼の目には涙が溜まっている。今にも、溢れ
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