第十七話 父親
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かったよね。そこで、長年に渡って、岩隠れで潜入スパイをしていた木ノ葉の忍に調べさせる事にした。そして、そのスパイから有力な情報を手に入れたという報告があり、そのスパイと接触する為に、サクモさんとその小隊が接触を図ったんだ。」
そこまで言って、隊長は少しばかり、息を整える。視線を、僕達から窓の外へと移して、話を続けた。
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「だけど、それは罠だったんだよ。そのスパイは、すでに身の上が岩隠れにばれていた。その状態で、彼らは接触することになったんだ。」
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「え?そのスパイさんが裏切ったってことですか?」
驚いたような声を、ハナが上げた。隊長は、窓から視線を戻し、ハナへと向ける。
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「ううん、違うんだ。つまり、泳がされていたんだよ。いつか、こう言う事があった時の為にね。」
その言葉に、問うたハナは、その顔を青くする。
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「そして、彼らは接触する。罠とも知らずにね。接触した時、すでに敵に囲まれていたそうだ。それでも、サクモさんは木ノ葉の英雄だ・・・何とか、その場から隊を逃がしてみせた。でも、長年、敵地でスパイをしていた彼は、敵に捕まって逃げる事が出来なかった。どんな気分だったろうね、敵の中で、死ぬ思いを何度しても、木ノ葉に尽くした彼が、やっと、“自分の努力が報われる”と、そして、“その任を解いて帰れる”と思ったのに、逃げれなかった時の気持ちは。」
この部屋に、隊長以外に話すものはいない。暗く、重い空気が圧し掛かってくるようだった。窓の外から聞こえてくる鳥の囀りさえ、心を癒してくれる事はなかった。むしろ、悪魔のささやきに聞こえたほどだ。
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「サクモさんは、それを思ったのかもしれない。何よりも木ノ葉の為に尽くした“仲間”を置いて逃げるのかって。許せなかったんだと思う、そんな事をしようとしている自分が。そうして、隊の皆を説得して助けに行ったそうだ。でも、もう彼は、殺されていた。しかも、多数の敵に囲まれ、再び逃げる為に激しい攻防になった。その時に、スパイの彼からもらっていた“情報が書かれた巻物”を、失くした。」
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「失くした・・・?」
僕が、その言い方に不自然さを感じて、聞いた。その答えを聞いた時、僕は、それを聞かなければ良かった、本当にそう思った。
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「それを持っていた木ノ葉の忍ごと、敵の術で吹っ飛ばされたそうだ。ばらばらに、ね。」
隊長の声には、力がない。ただ、単調にそれを伝えている。
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「重要情報の喪失、小隊員1名を犠牲に逃げる事が出来た。でも、それの代償は大きかった。・・・“あの仲間を助けたようとしたばかりに”、“仲間より任務を優先すべきだった”、そう非難しているんだよ、あの噂は。」
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「で、でも、あの噂って、もっと被害が出たって聞きましたけど・・・」
遠慮がちに、カタナが聞いた。隊長は、視線を伏せたま
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