第五章
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と言って寺々や豪家へ入り込み盗んだる金が御嶽の罪科は蹴抜けの塔の二重三重、重なる悪事に高飛びなし、後を隠せし判官の御名前騙りの忠信利平」
名乗るそれはまさに雲に龍。
そして赤星は。
赤星「またその次に列なるは、以前は武家の中小姓、故主の為に切取りも、鈍き刃の腰越や砥上ヶ原に身の錆を研ぎなおしても抜け兼ねる盗み心の深翠り、柳の都谷七郷花水橋の切取りから、今牛若と名も高く、忍ぶ姿も人の目に月影ヶ谷神輿ヶ嶽、今日ぞ命の明け方に消ゆる間近き星月夜、その名も赤星十三郎」
鳳凰が飛んだ。彼の名乗りには。
五人目はだ。南郷しかいなかった。
南郷「さてどんじりに控えしは、潮風荒き小ゆるぎの磯馴の松の曲がりなり、人となったる浜育ち。仁義の道も白川の夜船へ乗り込む船盗人、波にきらめく稲妻の白刃に脅す人殺し、背負って立たれぬ罪科は、その身に重き虎ヶ石、悪事千里と言うからはどうで終いは木の空と覚悟はかねて鴫立沢、然し哀れは身に知らぬ念仏嫌えな南郷力丸」
こうだ。雷獣と共に名乗ってみせた。
名乗りが終わった。そしてそれからもだった。
「五つ連れ立つ雁金の五人男にかたどりて」
「案に相違の顔触れは、誰白浪の五人連れ」
「その名もとどろく雷鳴の、音に響きし我々は」
「千人あまりのその中で刻印打った頭分」
「太えか布袋か盗人の腹は大きい肝っ玉」
こうだ。堂々と言い終えてみせた。それを聞いてだ。
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