第四話
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俺たち以外にいなかった。
「泊めてくれてありがとさん。また金に困ったら来させてもらうぜ。」
「おっと、少し待て。」
エギルは俺を呼び止めると、自分のメニュー画面を操作し始めた。
数秒後、俺のメニューが開き、トレードウィンドウが自動で表示される。
『1000コル』と表示されている。
「なんだこりゃ?」
「昨日、お前に依頼して狩ってきてもらった素材がなかなか売れてな。ささやかなお礼って奴だ。」
「…へぇ。ま、もらえるもんは貰っとくさ。」
エギルは俺の傭兵業務のお得意様だ。
こいつの依頼を優先させる代わりに、こいつの店に泊めてもらう。
まさしくギブ&テイク。
「んじゃ、今日も死なないぐらいに…」
頑張っていきますか。と言おうとしていた所に、一人の男が店のドアを開けて乱入してきた。
「おい、アンタ!まだウチは準備中だ!」
エギルが声を張り上げて抗議すると、その男は顔を上げた。
「すいません!ですが、ここに《銀ノ月》はいませんか!?」
《銀ノ月》と言うのは俺の日本刀の名前だ。
何故だか、俺の通り名になっている。
ま、あんまり有名ではないがね。
それより、乱入して来た、銀の鎧を付けた男に、俺は見覚えがあった。
「ここにいるぞ、《ホランド》」
中層のギルド《シルバーフラグス》のリーダーだ。
何度か依頼を受けてはいるが、基本的に中層のギルドは十分以上に安全マージンを取ったプレイ。
最前線の攻略組ならともかく、あまり危険はない。
「…ショウキ…ショウキ…」
俺の顔を見た途端、ホランドは泣き崩れていた。
…他のギルドメンバーが見当たらず、リーダーはこの状態。
これは…
「…何があったんだ?」
「…《シルバーフラグス》が…壊滅した…」
やはりか…
外れて欲しい予想が当たってしまった。
ホランドの話では、
突然、『ギルドに入りたい。体験入団させてもらえないか』
と、話してきた女性のグリーンプレイヤーが現れた。
気のいい彼ら−ギルドメンバーは仮入団を承諾。
しばらく一緒にクエストなどをこなしていた。
それから数日。
ダンジョンの攻略を終え、疲弊している時に狙いすましたかのように、オレンジプレイヤーたち−犯罪者たち−が襲来。
転移結晶で逃げようとしたところ、その女性プレイヤーがこちらに攻撃を仕掛けてきた。
彼女はオレンジプレイヤーたちの仲間で、最初からギルドを壊滅させる為に仮入団したのだと言う。
驚いている間にも、オレンジプレイヤーは自分たちに迫り、ホランドはなんとか脱出に成功したものの、…他のギルドメンバーは、脱出するホランドの前で殺されたらしい…
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