第一部 学園都市篇
第1章 虚空爆破事件
七月十八日:『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』
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覇星祭……競技は綱引き。正直、その時は常盤台なんて眼中に無かった。何しろ長点上機学園に負けてたから、巻き返そうと必死だったんだ」
「常盤台を軽視しているところには感心しませんけれど、長点上機学園を目標に……あの、大覇星祭上位の常連校ですわよね?」
「そ、弐天巌流学園はあそこを敵視してるからさ。バッティングするんだよ、専門が」
――まぁ、実はそれだけじゃあない。『その上、女生徒が居る』事が、黒一色の我が学舎があちらを敵視する最大の理由である。
流石にカッコ悪すぎるから、言えねぇけど。
「相手は女子ばかり、しかも中学生が十五人。此方は空手部や柔道部、果ては相撲部員なんかの混合で高校生十五人。100パー勝ったと思ったね」
「うわぁ……けほっ、清々しいくらいに卑怯ですね」
「そこにお姉様がいらして、華麗なる逆転劇を見せたわけですのね。ああ、見えるようですわ……かのオルレアンの少女の如く、勝ち目の無い闘いを覆すお姉様のお姿が」
ミンミンと蝉時雨の降る路上を、三人は出来る限り日陰を選んで歩く。申し合わせた訳ではないが、いつの間にか。
「ハッハッハ、気が付いた時には皆がテイクオフしてた。何せ、常盤台の配分は強能力者と大能力者の念動能力が十人、流体反発三人の化け物揃いだったからな」
「うわぁ……」
「それは、なんと言いますか……」
分かる者にしか分からないだろうが、とんでもない事である。旅客機と綱引きをしたところで、或いは勝ちうると言えば分かり易いだろうか。
「勿論、続く第二試合で負けたら終わりだ。だけど、真っ正直にぶつかったところで勝ち目なんて微塵もない。それで……奇策を講じたんだ。俺の友達の相撲部主将と合気道部の後輩が重くなれる能力だったから、その二人に最初の引っ張り合いを何とか堪えて貰って……」
「「貰って……?」」
わざとらしく、溜めを作る。黒子と飾利は、全く同じタイミングで顔を寄せてきた。それを満足げに受け止めて、嚆矢は口を開く。
「何とか俺が掴んだ理合を、念話能力能力の奴に皆に伝えて貰って、一致団結して何とか引き込んだんだ。薄氷の一勝だったけど、これなら十分に太刀向かえるって確信できたんだ……」
青春の一頁を懐古する老人のような口調で、沁々と。
――因みに、マグラと古都曰く『スペースシャトルと綱引きしている気分だった。もう二度とやりたくない』らしい。
「そして挑んだ第三試合……さっきと同じ方法で、だけどやる気はさっきの数倍でな。ホイッスルが鳴った、その瞬間までは」
「な、何があったんですの? 勿体つけてないで、早く仰ってくださいませ」
「はわわ、ちょっぴりワ
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