第一部 学園都市篇
第1章 虚空爆破事件
七月十八日:『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』
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と、亜麻色の髪を掻きながら嚆矢は呟いた。
「ちっともオーライじゃありませんよっ!」
「おおぅ、ビックリした〜……どうしたんだ、飾利ちゃん」
と、飾利から怒られる。全くもって『今日は良く怒られる日だ』と心の中で溜め息を吐いた。
「あんな無茶して……怪我じゃ済まなかったかもしれないんですよ」
「そりゃあ、寧ろ飾利ちゃんの方だな。野郎の俺なら兎も角、嫁入り前の初春ちゃんに怪我をさせる訳にもいかないしな」
『う〜っ』と、泣き出しそうな顔をした彼女に苦笑いする。自覚はあるのだろう。
「大体、どうして、その……私にそんなに親身にしてくれるんですか……」
俯き、ポツリと呟いた飾利。その仕草に、一種、危うい感情が沸いた。その衝動のまま――
「あぁ――――実はさ、飾利ちゃんって……俺の『妹』に似てるんだ」
「いもうと……さん、ですか?」
その衝動のまま、頭を撫でる。短めの黒髪は更々と心地好く、癖になりそうだった。
「ああ、今は遠いところに居るんだ。だから、尚更ね……飾利ちゃんは、護ってあげたいんだ」
「あうあう…………」
照れたような、しかし何故か残念そうに身を引いた飾利に、やり過ぎたかと手を引く。
そして――――
「……なぁ、飾利ちゃん。飾利ちゃんってさ、『能力を無効化する能力』って聞いた事ある?」
「えっ……? い、いえ……ありませんし、そんな能力有るんですか?」
「ハハ、俺も聞いた事無い」
カラカラと笑い、その『現場』を見詰める。何でも無い風を装いながら、その実――――戦慄しつつ。
「後で、書庫でも覗いてみるかな」
あの少年が立っていた地点から後方に、『爆発が無力化された』ような形跡を残した現場を望みながら……。
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