第4騎 トルティヤ平原迎撃戦(その1)
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が減らないと気付いた時には、5万と言う大軍に半包囲された上で、殲滅されつつある状態まで陥っていた。もはや、どうする事も出来ず、アトゥス軍は総崩れとなった。
しかし、今、その一方的な勝利を感じつつあるアカイア兵の心には、どす黒い不安が広がりつつある。その原因は、アトゥス軍を半包囲しているアカイア軍の、その両翼にある。言えようのない圧迫感が、両翼のアカイア兵を襲う。霧故に、周りが把握出来ないことが、彼らの不安をより、駆り立てていた。アカイア兵同士が、お互いに顔を見合わせ、何事かと、話し合っていたその時である・・・重く、激しい地響きが彼らを包んだ。立っている事すら危うくなる、大きな地響きである。よもや、地震か。彼らは、そう思った。しかし、それとは反して、彼らを包む霧に黒い影が浮かぶ。その影は、次第に数を増やし、霧を白色から、黒色へと色を変えた。さらには、地響きは、その霧が黒色に染まるのに合わせて、その激しさを増す。それが、頂点に達した時、彼らの視界は、津波のように迫ってくる“黒いモノ”で埋め尽くされていた。それを、自分に迫ってくるものを、“アトゥスの騎兵”だと理解するころには、彼らは“馬”に踏み殺され、その意識を持たなかった。
アトゥス軍急襲の報は、動揺と不安を抱え込み、瞬く間に全軍へと伝わり、本陣のバショーセル・トルディにも届くこととなる。
「報告!アトゥス軍急襲!我が軍の両翼より、騎兵が攻めてきますっ!」
その報告を聞いても、バショーセルはまだ、落ち着いていた。何故なら、アトゥス軍には5万のアカイア軍をどうする事など、現状、出来る事はないと思っていたからだ。それは、ただの“最後の悪足掻き”だと。
「何よ、この状況でも、悪足掻きするのね。で、その数は?」
この答えを聞いたバショーセルは、その心をかき乱される。どうしようもなく、ただ、されるがままに。
「その数・・・約8万!!」
第4騎 トルティア平原迎撃戦(その1) 完
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