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英雄王の再来
第4騎 トルティヤ平原迎撃戦(その1)
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す。敵は、こちらより少ない。それにも関わらず、この状況で引かないとは、怪しゅうございます。」
冷静に、そう伝えようとしている。しかし、ヒュセルから見れば、彼が何を言おうとも、自分から大好きなお菓子を取り上げた、憎き相手に見えるのだ。

「それは、先ほどザンブルが言っておったように、敵が“あほ”なのだ。」
ヒュセルは、この話はもう終わりだと言わんばかりに、手を振る。彼の目は、ヒューラー軍団長を見ようともしない。ヒュセルにとっては、この戦闘はもはや、“勝利”するものなのだ。

「ヒュセル様、しかし・・・!」
しかし、ヒューラー軍団長は、さらに食い下がる。その巨体を前に乗り出し、何とか、自分が主君と認めた人に話を聞いてもらおうと。

そのほんの少し前、アトゥス軍中央を任されている、デワレント・トルクメル兵団長は、敵の攻勢に“異様さ”を感じていた。アカイア軍は、霧に乗じて、アトゥス軍の両翼に奇襲を掛けてきた。しかし、アカイア軍の総数は4千である。その少数の軍を、さらに2分しているのだ。兵法から考えれば、あり得ない事だ。とは言え、斥候は仕事をして帰ってきたし、ヒュセル王子も、敵軍を4千と想定しての指揮をされている。命令をたがえる事は出来ないし、このまま、命令通りに、中央は両翼に援軍を送りつつ、待機するしか出来ないのではあるが。そうこうしている内に、戦端が開かれてから4時間が経過している。おかしい・・今だに、敵将を打ち取った、敵部隊を撃破したという情報が入ってこない。敵は、少数である。そして、こちらは多数・・・何故、味方優勢等の報告が一つもないのか。その時である・・・自分が指揮する部隊の前方が、にわかに、ざわめきだった。

「何事だ?」
そう、近くにいた参謀に声を掛けた。しかし、参謀も私と一緒にこの場にいたのだ、わかりませんと首を傾げている。お互いに、傾げた顔を見ていた時、自軍の配下の兵が駆け込んできた。

「トルクメル兵団長!て、敵襲です!」
その兵は、見てはいけないものでも見たような顔をしていた。その言葉に、緊張が体を駆け巡る。私は、咄嗟に前に出た。馬に乗っている為、比較的前が見える。しかし、霧が深く、辺りを見渡すことは出来ない。ただ、その霧に、言えようのない不安を感じた。トルクメル兵団長は、それを凝視する。その不安が何でもないと、確認するように。しかし、それは期待に添わない形として、彼の眼前に現れる。

その霧の中から一人、また一人と敵兵が現れた。最初は、両翼のように少ないだろうと思い、猛然と反撃させた。しかし、ふと、何かの違和感を覚える。少しずつ、少しずつ霧の中から現れる敵兵の数が増えるのだ。そして、それに気づいた時には、目の前に人の壁が出来ていた。

「ヒュセル様に、報告を!」
それが、トルクメル兵団長の最後の言葉となっ
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