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英雄王の再来
第4騎 トルティヤ平原迎撃戦(その1)
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せんでした。」
反抗することもなく、素直に謝罪をする。

「お前は、陣の最後方で、私が大勝利するところを見ていろ。」
そう言って、彼は、私に背を向けて立ち去った。私は、それを見届けてから、自分が指揮する部隊の所へと戻る事にした。
 指揮する部隊へと戻ると、各士騎長が私の下へと集まってくる。それぞれが、先ほどの軍議の内容を聞こうとしているのだ。ここに集まったのは、アレスセレフ・クレタ、トレェルタ・パルス、キュール・アトナの3人。トレェルタは、褐色の肌に金髪の髪が特徴的な26歳。キュールは、若い割に真っ白な白髪が特徴的の、23歳。彼らは、私の顔を見て、何も言いはしなかった。私が、話し出すのを待っている。一人一人の、顔を確認してから話し出した。

「作戦は、“敵は少数、恐れることない。真正面から敵を迎え撃て。”だそうだ。」
嘆息を交えて、そう伝えた。彼らは、お互いに顔を見合わせる。

「・・・真ですか?」
遠慮がちに、トレェルタが質問をする。いや、質問と言うよりは、確認だ。そのような事があるのか、と。

「残念な事だな。ヒュセル様は、どうやら目隠しをしておいでなのだ。」
キュールは、辛辣、と言えるような毒舌を吐いた。天を仰ぐかのような”振り”付きで。

「・・・エル様、そうなりますと、あの策は決行と言う事になりますか?」
アレスセレフの、その言葉と同時に、周りの空気が緊張感を持つ。皆が、視線を私に再び向ける。

「・・・そうなる。レティシアとジムエルに連絡を取ってくれ。それと、出している斥候に次の指示を。・・迅速に動け、この戦は大きな戦になる。」
緊張が、研ぎ澄まされていく感覚が広がる。懐かしい、感覚だとそう思う。それが、周りへと伝染するのか、毒舌を吐いていたキュールさえも険しい顔へと変貌する。それぞれが、するべき事を妥ずさえて、行動を始めた。



同日 正午過ぎ
アンデル地方 トルティヤ平原



 ミルディス州軍、アトゥス王国軍との戦いは、正午過ぎ、静かに開始された。霧の中、お互いに見えることもない。しかし、斥候によって自軍の前に敵軍がいる事は両軍分かっている。お互いににらみ合いを続ける中、アトゥス王国軍の左翼、ザンブル兵団長率いる部隊の方から騒ぎが起き始めた。それは、次第に左翼から中央、中央から右翼へと全軍に伝わる。

「ヒュセル様、左翼が攻撃を受けました!」
電光のように走ってきた連絡兵によって、その情報が伝わった。真正面に展開している筈の敵軍が前ではなく、左翼の方から霧に乗じて、こっそりと近づいていたのだ。真正面から来ると思っていたアトゥス軍は、僅かばかり浮き足立つ。しかし、敵は4千、味方は8千。霧に乗じて近づいたからと言って、数の上では味方が有利だと言う気持ちが、まだ、アトゥス軍の”強気
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