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英雄王の再来
第4騎 トルティヤ平原迎撃戦(その1)
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られず、視線をそらす。

「まぁ、いいですわ。それよりも、アトゥスはちゃんと誘い出したのでしょうね?」
また、鞭で鞍を叩く。話が変わり、少しばかり安堵する。

「はい。アトゥスは、いつもの小競り合いと思っております。少数の軍で来ることは確実で御座います。私がいつも小数で出兵していたのは、この時の為の布石でして・・・」
・・・結論的には、間違いではないだろう。アトゥスは、今回も小競り合いだと思い、少数の軍で進軍していると斥候から報告があった。

「ふふ、油を塗ったように滑る口・・・。」

「い、いえ・・・」

「それでは、アトゥスに引導を渡しましょうかね。」
再び、鞭で鞍を叩いて、そう言った。

「はっ。」
そう答えて、そそくさと、自分の軍が居る方へと馬を走らせた。一秒たりとも、奴の横に長居などしたくはない。訳の分からない異様さと、不気味さから、奴を好きにはなれない。南方方面軍第一等将軍などと言う肩書ではあるが、私の方が能力的に見ても、人物的にも優れていると思っている。だからこそ、”諌められる”などという言葉を使った。もはや、本国がアトゥスを滅ぼすと決めたのであれば、この州で私腹を肥やすのは難しいかもしれない。アトゥスがあってこそなのだ。本国に送る以外のモノをこっそりと、アトゥス相手に売っていたのだから。しかし、それが見込めなくなると言うのであれば、この戦で何とか、功を立てるしかない。私自身の”幸福”の為に、そして、あの女男野郎に泡を吹かせる為には。



同日 昼
アンデル地方 トルティヤ平原
王子 エル・シュトラディール



ミルディス州軍に対するアトゥス軍8千は、すでにトルティヤ平原南部に到着しており、陣を組んでいた。陣容は、歩兵6千、騎兵1千5百、そして、”ひよっこ”エル・シュトラディール率いる遊軍の騎兵5百である。その軍は、凸陣を敷いている。その後方に本陣があり、軍議が開かれていた。その軍議に参加している面々は、総大将たる王子 ヒュセル・シュトラディール、各千の兵を指揮する軍団長、兵団長、兵騎長、そしてもう一人の王子 エル・シュトラディールが顔を並べている。

「斥候の報告ですと、敵ミルディス州軍はその数約4千で、まもなく、この地域に入るとの事です。」
そう、報告するのは、ジャスギル・ヒューラー軍団長である。短い髭が特徴の、初老だが力を感じる人だ。普段は、万の歩兵を率いる軍団長を務めているが、今回、ヒュセルの出陣の為に付いてきた。ヒュセル兄様を慕う人物の一人だ。王子が3人もいる王国となれば、臣下は自ずと、それぞれに分かれるものだ。次の国王となり権力を持つものと、判断したところに集まる。まぁ、それだけでは無い事も多々あるが。

「嫌に、少ないですな・・・。」
訝しげに、そう言ったのは、フ
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