第二章
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第二章
五人は満足した顔で話す。
「よいな」
「全くだ。鎌倉にもこんなものはないからな」
「鎌倉の極楽寺もいいけれどな」
「それでもこの金閣寺もな」
「ああ、いいものだよ」
こう話してだ。五人は金閣寺に満足していた。その彼等の耳にだ。
喧騒が聞こえてきた。それは。
「だからだよ。手前はな」
「もう俺達のものなんだよ」
「いいな?さっさと来いよ」
「売ってやるからよ」
ゴロツキの言葉めいたものだった。その声の方を見ると。
そこにいたのはやはり柄の悪い男達だった。その連中が一人の可愛らしい娘の手を掴んでだ。そのうえでしきりに言っていたのだ。
それを見てだ。まずは弁天が言った。
「上玉だな」
「ああ、あんな娘は遊郭にもそうはいないな」
忠信もその娘を見て言う。
「鎌倉にもな」
「しかし。ああいう小者は何処にでもいやがるな」
赤星はゴロツキ達を見て述べる。
「風情を汚しやがる」
「じゃああの娘には義理はないけれどな」
それでもだとだ。南郷は前に出た。
「目障りだから蹴散らすか」
「うむ。では行くぞ」
駄右衛門が四人に告げてそうしてだった。
五人はすっとゴロツキ達の方に出てだ。こう彼等に告げた。
「おう、待ちねえ」
「折角の北山殿で無体はいけねえな」
「ちょっと静かにしてくれねえか?」
「無粋なことはしないでな」
四人が告げる。するとゴロツキ達は。
駄右衛門も含めた五人に対してだ。顔を前に突き出してすごんだ顔になって見せてだ。睨んだうえでこう言ってきたのであった。
「何だ手前等」
「俺達に指図するってのかよ」
「そりゃまた御苦労なことだな」
「奉行所の与力でもあるめえし」
「わし等は与力とは違う」
駄右衛門はそれは否定した。むしろその与力と争う立場だからだ。
「しかしじゃ」
「しかし?」
「しかし何だってんだよ」
「小者が騒ぐのを聞くのは嫌いじゃ」
こう彼等に言ったのである。堂々と。
「だからじゃ。どっかへ行け」
「何言ってんだこいつ」
「俺達はな、この娘に用があるんだよ」
「だからどっかに行けよ」
「邪魔なんだよ」
「邪魔か。なら余計にいいな」
彼等のその言葉にだ。反応したのは南郷だった。
その彼が威勢のいい感じの笑みでゴロツキ達の方に来た。それで彼等にこう言ったのである。
「俺達は邪魔するのが好きなんだよ」
「何っ、じゃあやるってのかよ」
「そうするってのか?」
「ああ。ここは俺に任せてくれ」
南郷は仲間達に告げた。
「一人で充分だからな」
「ああ、わかったぜ」
弁天が笑みで南郷のその言葉に応える。
「じゃあここは兄貴が楽しみな」
「そうさせてもらうか。じゃあな」
「一人俺達相手にするってのか
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