暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
As 14 「闇の書の意思」
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達を捕獲した管制人格は、彼女達を地面に叩きつける。そして、桃色と金色のバインドで拘束した。

「これ……」
「私達の魔法……」
「……私の騎士達が身命を落として集めた魔法だ」

 管制人格の口が閉じるのとほぼ同時に、彼女の頬を涙が伝う。

「闇の書さん?」
「お前達に咎がないことは分からなくもない。だがお前達さえいなければ、主は騎士達と静かな聖夜を過ごすことができた。残りわずかな命の時を温かい気持ちで過ごせていた……」

 確かに俺達がいなければ、はやてはシグナム達と今日という日を静かに過ごせたことだろう。だが明日はどうだ……明日になればシグナム達は蒐集を再開したのではないのか。それでは上げてから落とすようなものだ。はやてはより寂しさを感じて、苦痛に耐え続け……死を迎えることになったのではないのだろうか。
 あいつらは必死にはやてを助けようとしていた。だが結果的に、はやての首を絞めてしまっていた。はやてはただ一緒に過ごせれば、たとえ命の灯火が消えようとも幸せに逝けると思っていたんだろうな。何でこうも現実はすれ違ったり、残酷なんだ……。

「はやてはまだ生きてる! シグナム達だってまだ……!」
「もう遅い……闇の書の主の宿命は、始まったときが終わりのときだ」
「まだ終わりじゃない、終わらせたりしない!」

 ……そうだ。高町の言うとおり、まだ終わってなんかいない。俺達は全員戦えるし、管制人格だって健在だ。ナハトヴァールが主導権を握ったわけじゃない。そもそも、彼女は泣いているんだ。本気で諦めているのならば泣いたりなんかしない。
 そう思った瞬間、俺は無意識の内に動いていた。
 高町達の傍に降り立つの同時に、管制人格の放った砲撃が飛来してくる。高町達を守るようにカートリッジを使用して防御魔法を展開。威力を軽減することは出来たが、部分的に通過してしまった。だが大したダメージではない。

「……お前はこれまでに何度も大切な人を失ってきたんだよな。俺も……経験があるから、お前の諦めたくなる気持ちも分かるよ」

 後ろからふたつ息を呑む音が聞こえたが、今はそれを気にしている場合ではない。意識を向けなければならないのは、無言でこちらを見ている彼女だ。

「でも……泣いているのは悲しいから。諦めたくないって想いがあるからじゃないのか? 本当に諦めてる奴は泣いたりなんかしない」
「…………」

 管制人格の頬をひときわ大きな涙が伝って左腕に落ちた。彼女は返事をすることはなく、左腕をこちらへと向けて闇色の魔力弾を放つ。
 今度は防御魔法ごと撃ち破る威力だろう、と推測した俺は高町達の方を見る。するとテスタロッサと視線が重なり、彼女が何かしら行動を起こす気配を感じ取った。この場から離れる準備をしつつ、少しでも時間を稼げるよう
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