As 14 「闇の書の意思」
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だろうから」
「うん!」
「そうだね!」
俺達は広範囲に結界を発動させた管制人格へと近づいていく。彼女が結界を張り終えるのとほぼ同時に到着。全く怖気づいていない高町が口を開く。
「あの、闇の書さん!」
「…………」
「私達、はやてちゃんやヴィータちゃん達を……」
そこで高町は口を閉じることとなった。管制人格が彼女の言葉を遮るように話し始めたからだ。
「我が騎士達はお前達を打ち破り、ナハトの呪いを解き主を救うと誓った。そして主は、目の前の絶望が悪い夢であってほしいと願った。……我はただ、それを叶えるのみ」
確かにシグナム達ははやてを救おうとしていたし、閉じ込められている間にはやては嫌な光景を見たことだろう。
だが闇の書の完成は全ての終わりを意味する。重要なシステムの一部である彼女ならば、そのことは理解しているのではないのか。
「……叶えてどうするんだ?」
「どうする? ……私はただ騎士達や主の想いを叶えるだけだ」
叶えたからといって、シグナム達が戻ってきたりはやてが解放されるわけではない。いったい誰が幸せになるというのだろう。
そんな想いを思わず口にしそうになる。しかし管制人格の瞳を見た瞬間、口に出そうとした言葉は霧散していった。彼女の瞳に視線を釘付けにされたからだ。あの瞳を俺は知っている。
両親を失ったばかりの頃の俺と同じ目だ……いや、俺よりももっと深く絶望しているように見える。……それも当然か。彼女はこれまでに数え切れないほどの主を失ってきたんだ。
力を欲していた主が多かっただろうが夜天の書と呼ばれていた頃の主の中には、はやてのような優しい心を持った主だっていたかもしれない。大切な人との別れというのは、たった一度でも心をズタズタに切り裂いて破壊する。それを何度も経験したとすれば、心が壊れてしまうのは当然だ。
だから彼女は……きっと諦めてしまっているんだ。闇の書が完成してしまっては、もう未来は変えられないと……。
「……ただお前は主にとって大切な存在だった。そして騎士達にとっても……騎士達はお前と敵対していたが、本当はお前を傷つけたくはなかっただろう。今すぐここから立ち去ってくれ」
「それは……できない。俺は最後まで諦めないと決めたんだ。はやてを救う可能性がある限り、俺がここから立ち去ることはない」
「……そうか。では仕方がない。主には穏やかな夢の内で永久の眠りを……そして、我らに仇なす者には永遠の闇を」
管制人格の足元に魔法陣が出現したかと思うと、地面から炎の柱が次々と現れた。街中の至るところに立っているためランダムか思いきや、的確にこちらの居場所にも噴出してくる。俺達は散開を余儀なくされた。回避運動を続けていると、あることに気が付く。
――徐々に高町達か
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