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打球は快音響かせて
高校2年
第十七話 さぁ、いきましょう
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やそれ!嫌味か!?」
「違います。牧野さんに1年と同じ事させられないんで。」
「うるせぇわ!」

本格的に牧野はキレた。

「お前みたいに、中学まで野球しよらんかったからって言い訳も俺はできんのじゃ!野球ばっかりしてきたのにこのザマなんじゃ!この気持ちお前に分かるんか、オイ!」
「こいつがいつ、高校から始めた事を言い訳にしました?」

翼の後ろから、太田がヌーっと現れる。
先輩相手だが、全く恐れる様子がない。
腹をくくっていた。

「むしろ、高校から始めたってんで、差を埋めようとこいつは遅くまで頑張ってました。俺は一緒にやってきたから知ってます。」
「太田……」

翼は、何だかこそばゆい気がした。
でも、嬉しい。こうやって自分の肩を持ってくれるのは。

「そうやってスタンドでシケていても、もうグランドに戻る事はできませんよ?今できる事やって下さいよ。それとも何ですか?弱いチームのベンチ外になりたいんですか?」
「……」

太田の言葉に牧野は黙る。
そして、おもむろに足下に置いていたメガホンを手に取った。

「……さぁーいきましょー!」

メガホンに口を開けて牧野は叫ぶ。
突然の事に、一連の流れを見物していた1年生もキョトンとした。
その様子を見て、牧野が怒鳴る。

「何黙っとるんちゃ!早よ続かんかい!」
「「「さ、さぁーいきましょー!」」」

意図を理解した翼ら下級生が、牧野の音頭に続く。太鼓がドコドコとリズミカルに叩かれる。

「三龍最強!」
「「「三龍最強!」」」
「三龍最強!」
「「「三龍最強!」」」
「「「いけっいけっいけっいけっいけーっ!
(ドンドンドン)
おせっおせっおせっおせっおせーっ!」」」

牧野が指揮する「さぁいきましょう」が球場に響き渡る。

「……ありがとう、太田」

耳打ちした翼に、太田は屈託のない笑みを見せた。

「…思った事言っただけやけ」

カーン!

グランドからは甲高い打球音が響いてくる。
スタンドの応援席も、グランドで躍動するレギュラー達と一体になっていった。





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