高校2年
第十七話 さぁ、いきましょう
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グランドから出て行く宮園の背中を見送るように、応援練習の大きな声が響き渡っていた。
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「今日もアガり、早いですね」
自主練習を殆どせずに寮に戻った宮園が風呂に入った後洗い物を洗濯場に持って行くと、そこには京子が居た。とても京子一人分ではない量の洗濯物を抱えていたのは、部員に頼まれた分だろう。
京子は気が強く野球にも詳しいが、その見た目から特に3年生には可愛がられていた。それには、京子が3年生に対してはあまり指摘をしないという部分も関係している(先の短い3年生に何を言っても無駄、と京子は割り切っているだけなのだが)。そしてこのように、よくユニフォームの洗濯を頼むのである。少し不満気ながらも引き受けてくれるのが可愛いのだそうだ。
「疲れたからアガった、それだけだ」
多量の洗濯物と格闘しているいじらしい京子の様子にも、表情をピクリとも変える事なく宮園は素っ気ない返事をした。幼い時からの付き合いで、今更京子を可愛いなどとは思わないかもしれないが、それにしても冷淡だ。
「でも、疲れてる割には勉強する余裕はあるんですね。最近の定期テストも成績良かったそうじゃないですか」
「…文武両道で良いことじゃないか。お前、俺にバカで居て欲しいのか?」
空いている洗濯機に乱暴にユニフォームと洗剤を放り込み、宮園はスイッチを入れる。
ガタガタと音を立てて洗濯機が動き始める。
「そういう事が言いたいんじゃないです。この夏の大会が最後で、レギュラーも獲れずベンチにも入れなかった先輩も居るんやから、もう少し一生懸命な姿勢見せないと…」
「一生懸命やってるよ、全体練習では。そういう“頑張ったアピール”の為に少ない時間を使えるかよ」
「そ、そりゃ無駄な事かもしれませんけど…」
「生憎な、お前の兄貴みたく野球だけしてる訳にはいかないんだ。」
跳ねつけるように宮園は言う。
京子はその態度に怯んだ。
宮園は苛ついていた。怒っていた。
「…俺は下手くそだからな。洗濯物、出来上がったら俺の部屋に届けてくれ。お前はまだここに居るだろ?頼む」
宮園はフッと、自嘲気味の笑みを最後に浮かべて、洗濯場を出て行った。
「…違うっちゃ。兄貴がずっと目標にしよったんは、光君やったんに。」
そこには、悲しそうな目をした京子と、山のように残った洗濯物だけが残された。
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ズパァーーン!
スタンドまでミットの捕球音が響き渡りそうな、威力のある真っ直ぐ。
「オリャー!」
マウンドで鷹合は雄叫びを上げる。
気迫十分、闘志が漲る投球である。
「いいぞー!いいぞー!レンタロウ!」
「「「いいぞいいぞレンタロ
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