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打球は快音響かせて
高校2年
第十七話 さぁ、いきましょう
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第十七話





「応援団長?」
「そうや。ずっとBの主将でやってきたのはお前やけ、1年を引っ張る事もできるやろ。」

練習後、メンバー外2年生が集まり、来る夏の大会の応援団長を決めようとしていた。

「でも、俺今松葉杖だし…あんまり盛り上げられないよ」

太田に団長に推薦された翼は難色を示した。
こんな状態では盛り上げるのも難しいし、自分以外に相応しい奴も居るだろうという判断だ。

「大して動かんでもええけ!お前がやるって事に意味があるんやけ!」
「そうやそうや」
「お前しか居らんやろ」

しかし、太田を始め、2年生は翼を推した。
太田の言う通り、Bチームの主将は翼だったし、殆どBチームのメンバーであるベンチ外部員の中で、Aチームから漏れてきた2年がリーダーをするというのもおかしな話だろう。

「…よし、分かった。頑張るよ」

また一つ、翼の肩書きが増えた。



ーーーーーーーーーーーーー



「フレェー!」ドドン!
「フレェー!」ドドン!
「さーんーりょーう!」
「「「フレッフレッ三龍フレッフレッ三龍!!」」」

全体練習後に、ベンチ外の部員は応援の練習をやっていた。時間をかけてはやらないし、大会前の追い込み期間が終わった頃から始める付け焼き刃だが、これをやらなかったらやらなかったで、エール交換など対戦マナーに対応もできないし、何よりベンチ外部員がスタンドでダラダラとしているのはとても格好が悪いのだ。応援なんかする為に野球部に入ったんではない、などと甘えた事を言っている訳にはいかないのである。チームとしての品格に関わるのだ。

「団長、好村なんやな」
「まぁ毎年Bの主将がしよるけんなぁ。好村そんなにネタキャラ違うけど、まぁそこそこにやるやろ」

その応援練習を横目で見ながら、メンバーに入っている渡辺と飾磨はトスバッティングをしている。ベンチ外の役割が応援なら、メンバーに入った者の役目は「できるだけ多く応援させてやること」だ。一つでも多く勝つ事だ。

「お疲れ」
「あ、宮園。お前もう戻るん?」

セカンドバッグを肩にかけてクラブハウスから出てきた宮園に、バットを持った渡辺が声をかける。宮園は端正な顔に苦笑いを浮かべた。

「結構、昨日までの追い込みが堪えてるんだよ。今日は早めに休む。」
「おう、しっかり寝るんぞ!」

宮園は頷き、渡辺に背を向けて歩き出す。
渡辺もすぐに飾磨のトスする球に視線を戻し、シャープなスイングで打ち抜く。

パァーン!

トス打撃用の竹バットが良い音を立て、集球ネットに鋭い打球が突き刺さる。

「さぁーいきましょー!」
「「「さぁーいきましょー!」」」
「さぁーいきましょー!」
「「「さぁーいきましょー
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