第六十一話 日本シリーズその七
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「三位だったから」
「クライマックスカープに負けましたね」
「そっちでもでしたね」
「そうよ、優勝したかったわ」
切実な声での言葉だった。
「今年は阪神が強過ぎたわ、実家でもね」
「先生の実家確か名古屋でしたね」
「そこでしたよね」
「ええ、そうよ」
言葉にも名古屋の訛りがある、それが言葉にも出ている。
「大学からこっちよ」
「そうですよね、だからですか」
「ドラゴンズですよね」
「何であんなの監督にしたのかしら」
こうも言う先生だった。
「高木守道なんて」
「もう辞めてますよ」
「たった二年だったじゃないですか」
「その二年が大きいのよ」
たかが二年されど二年だというのだ、高木守道が監督だった二年間が今も中日に響いているというのだ。
「怒ってばかりでチーム内を不和にさせて」
「っていうか監督だけ嫌われてましたね」
「最初からどうかって言われてましたけれど」
「実際に余計な騒動ばかり起こして」
「辞めちゃいましたね」
「フロントが悪かったのよ、フロントが」
今度は上層部批判になる。
「軍隊でもね、軍隊だけじゃ戦えないのよ」
「あれっ、戦争は軍人さんがするんじゃ」
「日本だと自衛官の人達が」
日本に今のところ交戦権はないがこう話すのだった。
「それで軍隊だけじゃないって」
「そう言われるんですか」
「そうよ、政治家が決めて終わらせるもよ」
チャーチルがそう言った、実際に戦争というのは政治の中にあり軍人は戦うだけの官僚に過ぎないのである。この辺りは警察と同じだ。
「政治家がどうかなのよ」
「それが戦争なんですか」
「そうだったんですね」
「文民統制だしね」
日本をはじめ多くの国が今ではそうである、つまり文民である政治家が軍をコントロールし戦争の開始と終結を決めるのだ。
「そうなるのよ」
「じゃあチームもですか」
「フロントが大事なんですか」
「政治家が駄目だと戦争は負けるわ」
先生はまたこう言った。
「そして野球もね」
「フロントが駄目だとですか」
「負けるんですか」
「巨人を観るのよ」
この先生もかつての自称『球界の盟主』のことを話に出す。
「フロントが酷いでしょ、あそこ」
「あのオーナーですよね」
「老害って言われてた」
「あのオーナーが巨人を駄目にしたのよ」
親会社のドンだったこの人物がだというのだ。
「現場に無茶苦茶介入してね」
「金満補強とかですね」
「負けるとすぐに騒いで」
「それと一緒よ、フロントが落合さん辞めさせてあんなのを監督にしたから」
その高木守道をだというのだ。
「その二年がね」
「今もですね」
「響いてるんですね」
「そうよ、阪神はその点フロントが大人しくなったからね」
それでだとい
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