災厄の道化
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姉同様にネコを思わせるつり気味の目をそっと静かに伏せ、クロスは笑みを浮かべたまま続けた。
「こんな力、欲しくなかった・・・姉さんを苦しめる、災いの力など」
「おーい、ザイール〜」
ティアを部屋へと運び、キッチリと鍵を閉めたザイールは、自分にかけられた声に反応して顔を向けた。
そこには、ボサボサの髪に垂れ目の女性の姿。
「・・・マミー」
「ティア嬢は気ィ失ってる?羽毟り取るなら今チャンス?」
「やめておけ、シャロン様に殺されたくないだろ」
「・・・まーね、それもそうか」
この女性の名は『マミー・マン』。
女にしては背が高く、ボサボサの髪と垂れ目が寝癖そのままのいい人そうな印象を与えるが、実際にはいい人から1番距離のある場所にいる。
「そーいや聞いた?妖精がここに乗り込んでくるって話!」
「ああ・・・知ってる。ティア嬢を追ってきているんだってな」
「バカとしか言いようがないよねー、わざわざ闇ギルドの中に来るなんてさぁっ!」
「お前が言うのはどうなんだ・・・正規ギルド潰しが」
「アタシのアレは趣味☆一緒にしないでよね♪」
嬉しそうに言うマミーにザイールは溜息をつく。
この女、マミーは残忍な性格をしている。
口調は明るく普通の女性だが、放つ言葉は残忍の塊でしかない。
勿論、行動もだ。
「ていうかさザイール、アンタって闇ギルドの人間のくせして闇ギルドっぽくないよねー」
「闇ギルドっぽい人間って何だ」
「あー、やっぱあれ?昔正規ギルドに―――――――」
マミーの言葉はそこで止まった。
何故なら、ザイールが無言で左掌をこちらへと向けていたから―――。
「それ以上言うな。それ以上言うようなら、お前とはいえ・・・殺す」
「・・・キャハッ、やっぱアンタって闇ギルドっぽいかもね」
心底面白そうに笑うマミーを一瞥し、ザイールはカチャリ、と右手に持った鍵を鳴らした。
「あー・・・かったるいわ〜・・・」
カトレーン本宅の、望遠鏡のある見張り部屋では1人の少女が心底面倒そうに机に突っ伏していた。
淡い緑色の髪の少女は、緑色のパーカーを着用し、被っているフードには黒で顔のようなものが描かれている。
同系色の膝上丈スカートを穿き、足元はやはり緑のニーハイソックスに黒いシューズだ。
森にでも隠れたら絶対に見つけられなさそうな全身緑の少女は、やはり面倒そうに望遠鏡を軽く覗いた。
「ん〜・・・敵なーし」
ぼやくように呟いて、少女は再び机に突っ伏す。
彼女の名は『シオ・クリーパー』。
歳はザイールやマミーよりは下に見え、ティアと同じが1つ上くらいだろう。
「て
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