災厄の道化
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そうなんだ」
ルーシィとルーが首を傾げ、何故かナツが嬉しそうに叫び、ヴィーテルシアが冷静にツッコみを入れる。
クロスはヒラヒラと右手を振った。
「2枚隠し持ってなどいないさ。何なら・・・そうだな」
スペードのエースをカウンターへと置いたクロスは視線を彷徨わせ、止める。
その視線の先には、魚を持つハッピー。
「ハッピー、その魚を貸してくれないか」
「オイラのだから食べないでよ?」
「勿論だ・・・ミラジェーン、大きめの皿を2枚頼めるか?」
「解ったわ、ちょっと待ってて」
ハッピーから魚を、ミラから大きめの皿2枚を受け取ったクロスは、魚を1枚の皿にのせる。
ギルドメンバー全員が不思議そうに見つめる中、クロスはゆっくりと手を翳した。
「流星の軌跡、星々の星彩、全天にて88星を形作る光よ―――星竜シュテルロギアの後裔が命ずる―――」
そして目を閉じ、通る声で何かを詠唱する。
全員が頭に?を浮かべる単語を並べていくと同時に、その両手に青い光が宿っていく。
「星竜の力によりて―――鏡に映りしその姿を―――命じるままに複製せよ!」
カッ!と目を見開いた。
青い光が魚を包む。
「!」
「眩しっ・・・」
その眩しさに全員が思わず目を瞑った。
ぎゅっと閉じた瞼の向こうで、光が治まっていくのを感じる。
「光は消えた。見てみろ」
どこか沈んだようなクロスの声に反応して、目を開く。
そして―――――――目を、見開いた。
「えっ!?」
「はぁっ!?」
「うあっ!」
「マジかよ!」
「魚ーーー!」
テーブルの上には、大きめの2枚の皿に魚が2匹。
1皿に1匹ずつ乗っている。
頭から尻尾まで同じ姿をしており、大きさも当然のように同じだ。
「ハッピー、協力感謝する。2匹とも食うといい」
「ありがとクロス!」
言うが早いが、ハッピーは右側の皿に乗った魚をはむはむと頬張り始めた。
「・・・解ったか?さっきも同じ手を使ってトランプを1枚増やした」
「クロス・・・お前、いつの間にそのような複製系魔法を・・・」
目を見開いて驚愕するエルザに、クロスは首を横に振った。
その目はどこか悲しそうで、口元には薄い笑みが浮かんでいるが、嬉しそうにも楽しそうにも見えない。
「これは魔法じゃない―――――魔法だったら、好めるがな」
呟かれた言葉にエルザは怪訝そうな表情になる。
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