災厄の道化
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が呟く。
ゆっくりと目線を上げると、そこには気を失うティアを支える1人の青年。
「ありがとう。その子は部屋に運んでおいて」
「・・・了解しました」
淡々と答える青年は、黒髪を揺らしてティアを抱えた。
鋭い光を宿したつり気味の目に、忍者を思わせる黒い装束。黒髪と相まって、闇の中や影の中に潜んでしまえばその姿は見えなくなるだろう。
「部屋の鍵を、もらってないんですが」
「ああ・・・そうだったわね、はい」
投げるように手渡された銀色の鍵を右人差し指と中指で持ち、気を失って動かないティアを横抱きに抱える。
「その子を部屋に運んだら今日はもういいわ。本部に戻りなさい、ザイール」
「はい」
小さく頭を下げ、部屋を出て行った青年『ザイール・フォルガ』。
その後ろ姿が見えなくなったと同時に、シャロンはソファへと座り直した。
「言ったはずよ・・・貴女に拒否権はない、と」
そんな事が起こっているとは全く知らない、妖精の尻尾。
だが、こちらはこちらで問題が立て続けに起こっているのだ。
ナツとライアーが本気で睨み合ったと思えばギルドが1つになり、そこにバラム同盟の一角を担う闇ギルドである血塗れの欲望所属の3人がティアを迎えにやってきて、ルーの故郷を滅ぼした存在だと発覚したと同時にギルドマスター直属部隊、暗黒の蝶のリーダーがアルカの父親『エスト・イレイザー』である事が発覚、そしてアルカがどこかへ消えルーが過去を語りミラがアルカの家へ行き以下略(略すのが遅い)で現在に至る。
「・・・つー訳で、さっきはいろいろ悪かったな。オレ、どうかしてたみてーだ」
なはは、と笑うアルカはミラと共に、先ほどギルドへと戻って来ていた。
いろいろ吹っ切れたようにその表情は明るく、いつもと変わらない姿である。
「それじゃあ・・・どこにも行かないよね?」
「当然だろ?オレみてーな問題児受け入れてくれんの、ここ以外ないだろうしな」
「・・・アルカぁぁぁぁっ!」
「うおっ!?どうしたルー!?」
ぐすっと鼻を鳴らしたルーは耐え切れなくなったようにアルカへと飛び付く。
それをよろけながらもアルカは受け止め、子供をあやすように頭を撫でた。
「で・・・何かいい空気になっているところ悪いんだが」
その空気をクロスの声が裂く。
全員の視線がクロスへと向いた。
カウンターの席に座るクロスは頬杖をつき、くるりとスプーンを回した。
「シュトラスキーもイレイザーも抱えていたモノが消えたようだが・・・お前達、何より大事なのは姉さんの無事だという事を忘れてはいないだろうな?」
『あ、あい』
当然
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